ども、係長になったことがない岡田達也です。



大学卒業して半年間だけサラリーマン生活を経験し、
その次の半年はトラックの運転手をやり、
でキャラメルボックスに入団してしまったので「役職」というものに就いたことがない。

そのかわり、と言ってはなんだが……
宇宙刑事とか
宇宙船のパイロットとか
天才作曲家とか
画家とか
土方歳三とか
坂本龍馬とか
おそらく、普通の人なら“なることはないであろう職業や人物を経験してきた。

俳優は、みんな僕と同じだろうと思っていたが、どうやらそうではないらしい。

今回、初めて共演させてもらう芋洗坂係長だ。
だって、名前が、すでに、係長だ。
ずるい。
生きている間中、役職に就いているではないか。

ところで。
芋洗坂係長、とにかく柔らかい。
人柄も、芝居も、見た目の可愛らしさのまま。
おそらくとてもシャイで照れ屋な人なんだろう。
偶然にも僕と同じ学年らしく、それだけでもなんだか嬉しい。

これからもっともっと知り合っていくのだろうけど、すでに面白かったエピソードがあるので紹介したい。

顔合わせの日、夕方から親睦会が開かれた。
11月の10日である。
その日はわりと温かかった。
が、そうは言っても上着は必須の気温だ。
しかし、係長はTシャツにオーバーオールである。
「……あの、寒くないですか?」
思わず訊ねた僕に、笑顔を浮かべ
「あ、はい。まぁ、この体型ですから寒さを感じにくくて。それに……」
「なんですか?」
「電車に乗れば暑くなるじゃないですか?」
「ええ、まぁ」
「それに……」
「なんですか?」
「歩けば暑くなるじゃないですか?」
「ええ、まぁ」
「強いて言えば、今の季節は残暑を感じるくらいですかね」
僕は爆笑した。


先日、僕が健康診断を受けたことから、そんな話になった。
「係長は大丈夫ですか?」
「いや、ダメですね。とくに中性脂肪が高くて(笑)」
「……他には?」
「糖尿病になりかけています。インスリン注射も近いですね(笑)」
「……お医者さん、何も言わないんですか?」
「最初のお医者さんには痩せなさいって言われました」
「……そうですよね」
「でも、次のお医者さんが「今は薬も進歩してるから大丈夫。薬で生かしてあげるから安心してやりなさい」って」
稽古場にいた全員が爆笑した。


その安定感と人柄にすっかり魅了された僕は、いつの日か「部長」に昇進させてあげられないものか?と考えている。






では、また。