ども、自覚症状が足りない岡田達也です。



公演の初日には関係者各位から差し入れが届く。
昔は一升瓶というのが定番だったが、時代が流れ現在はビールとお水が圧倒的に多い。
もちろんどちらも箱で届く。
楽屋に並べられる箱入りビールの数々。

すばらしい。

世界遺産に指定された富士山の景色より
鳥取砂丘から眺める日本海よりも魅力的に映る。
見ているだけでトロンとしてしまう。

『祝公演』というのし紙が貼ってあるのだから、この公演に参加している全員に飲む資格がある。
もちろんだ。
そんなことはわかっている。
僕だってもう大人なのだ。

しかし。
あれらを“独り占めしてみたい!”という欲望もちょっとだけ、ほんのちょっとだけ湧く。
人間だもの。
仕方がない。

だから制作スタッフの子たちに冗談で
「このビール全部、宅急便でウチに送っておいて」
と言ってみる。
当然
「たつやさん、ダメですよ!」
と怒られる。
これが日常会話として繰り返されていた。

すると……

人というのは次第に擦り込まれる生き物なのだろうか?
人というのは押し続けると寄り切られる生き物なのだろうか?

先日、Dステの制作担当で楽屋周りのすべてを仕切っている加藤さんと
キャラメルボックスから出向している元気印・山浦依里子が
男楽屋に大量のビールを持ってきてくれた。
「初日乾杯で残ったビールです。冷蔵庫に冷やしておきますね!」
口をとがらせ、語気も強く、
「たつやさんが言うから仕方なくですよ!」
という姿勢を前面に押し出しての配達だ。
しかし、こちらは怒られようが、文句言われながらだろうが、結果オーライである。
「ありがとうございます。ジャンジャン入れてください。お願いします」
心の中はニヤついていたが、あくまでも神妙な表情を崩さないようにして答えた。



やはり美しい。
世界遺産にも引けを取らない。
ずっと眺めていられる。


楽屋に戻ってきた鍛治本大樹に
「かじもと!冷蔵庫にビールが届いたぞ!山浦が持ってきてくれた!」
と嬉しげに報告した。
同じくビール党のかじもとはきっと喜んでくれるだろう。
そう思っていた。
ところが。
ヤツはとても冷たい目をこちらに向けて
「……育ててますね」
と言ってきた。

もちろんこの場合
「あなたって人は相変わらず、自分の意のままに動く人間を育てていますね。最低です」
という意味合いで間違いない。

あ。
確かに。
そう言われればオレは最低かもしれない。

しかし。
終演後にそのビールを美味そうに飲んでいるオマエはもっと最低だぞ、かじもとよ。



では、また。