ども、交渉された岡田達也です。



昨日の稽古後、飲みに行った。

お金はある。
たっぷりある。
逆に言えばお金しか持っていない。
……と言っても過言ではない人間だ。

どこでだって飲める。
銀座だって、六本木だって恐くない。
回っていない寿司屋で飲むのも悪くない。

しかし。
日本の経済状況、岡田達也の貯蓄の残高、
いろんなものを考慮して「安いお店」に行くことにした。

そのお店は「生ビール 中ジョッキ280円」というとても良心的な値段設定だったのだが
さらに
発泡酒  グラス90円
発泡酒  ジョッキ190円
発泡酒  メガジョッキ490円
そんな幸せなドリンクメニューが並んでいた。

メガジョッキとは1リットル以上ある。
これは安い。
素晴らしい。
抜群のコストパフォーマンスだ。
僕のためにあるようなお店ではないか。
初っ端からメガジョッキを頼み、渇いた喉を潤していた。

飲みながら考えた。
痛風が発症しなかったとは言え、尿酸値が高いことは間違いない。
こんなものを2杯も3杯も飲んでいてはならぬ。
今日のビールはこの最初の一杯にしておこう。
なんて自制心の利いた素晴らしい判断なのだ。
偉いぞ、自分。
誰も褒めてくれないので自分で自分を褒めてやった。
そして次の飲み物はプリン体の影響が少ない「メガハイボール」に切り替えることにした。

店員さんを呼び止めた。
「メガハイボールを一つ、お願いします」
「ありがとうございます!」

しかし、その店員さんがすぐに引き返してきた。
「お客様、申し訳ございません。あいにくメガジョッキが出払っておりまして……」
「ああ、そうですか」

それならば仕方ない。
ジョッキで頼もうかなと思っていると店員さんが
「お客様、もしよろしければメガジョッキのお値段のままジョッキ3杯で手を打ちませんか?」
と声を掛けてきた。

しかも、ちょっと声を潜めて。
しかも、ちょっとニヤッとしながら。

おぬしも悪よのう、である。

「一応、確認しておきたいんですけど」
僕は訊ねた。
「ジョッキ3杯はメガジョッキよりも……」

そこまで言ったところで店員さんは僕を制して言った。
「もちろん、お得になっております」

しかも、ちょっと声を潜めて。
しかも、ちょっとニヤッとしながら。
オマケに、親指を立てながら。

交渉は成立、メガジョッキの値段でジョッキ3杯分がテーブルに届いた。


楽しく、美味しく、安く飲むことができ大満足だったのだが……
帰り際に思った。

僕はそんなに悪代官のような顔をしていたのだろうか?



では、また。