ども、せっかち丸出し岡田達也です。



古くからの読者の方はご存じだろう。
僕がいかに「せっかち」か。

自分でもわかっている。
そんなに急いだって何か良いことがあるわけじゃないってことも。

だけど。
根っからの性分なのだ。
こいつばかりはなかなか修正できないでいる。

自分でもダメだな……、と思う具体例は

・エレベーターに乗り、行き先階数のボタンを押した後、「閉」のボタンを何度も押してしまう。
(扉が閉まるのが待ちきれない)

・自動販売機で飲み物を買いお釣りがあると10円ずつ取り出してしまう。
(全部落ちきるまで待ちきれない)

・帰宅のさい、家の玄関に到達する前にカギを右手にスタンバイしてしまう。
(玄関に着いてからカギを用意するのではロスが多いと感じるのだ)

と、このように「些細な部分」にもせっかちの片鱗を見せている。


昨日。
コーヒー豆を買いにいった。
僕の好みである「苦み」が強く「重め」の豆を見つけて、ペーパーフィルター用に挽いてもらった。
「レジにお並びになってお待ちください」
可愛らしい店員さんの案内に思わず頬が緩みながら、言われるままにレジに並んだ。

「685円です」

ありゃ。
財布の中に五千円札しかない。
せめて千円札があれば良かったのだが……
仕方がない、こいつで払おう。

その五千円を受け取った女の子は、もう一人のレジの女の子に声をかけた。
「五千円、入ります!」

あぁ、お店のルールなんだな。
五千円とか一万円が支払われると、店員さん同士で確認しなければならないのだろう。
これは、まぁ、仕方がないか。

女の子は五千円札を見せた後、レジの中に入れ、千円札を4枚取り出した。

僕は、その時点で、右手を、前に、差し出している。

そう。
受け取る準備は万全なのだ。

しかし。
女の子は僕に千円札を渡すことなく、再び隣の女の子に「確認お願いします!」と声をかけ、その4枚の千円札を見せた。

あ。
そうね。
そういう確認も大切だよね。
お店の決まり事だもんね。
お釣りをちょろまかす店員がいたらお店の売り上げが合わなくなるもんね。
大事、大事。
急いだこちらが悪かったよ。

僕は、右手を引っ込めた。

4枚の千円札の確認が終わり、女の子がこちらを振り向いた。
もう、大丈夫。
このお釣りは僕のもの。
もう右手を差し出しても恥ずかしくない。

僕は、今度こそ、お札を受け取れると思い、前に差し出した。

再び受け取る準備は整った。
はやく、僕の手の上にお札を乗せておくれ。

しかし。
女の子は僕の目の前で、まるでこちらの気持を見透かし、焦らすかのように「ご確認お願いします!」と4枚の千円札を数え始めた。

……
……

良いよ。
さっき、隣のお姉さんに確認してもらってたでしょ?
それ、見てたもん。
信じるよ。

つーか、お店の人に確認、お客さんにも確認って
手数が多すぎるだろうーがーーーーーーー!!!!!!

再び僕の右手は宙に浮いたまま行き場を無くした。

恥ずかしい。
これでは「早くお釣りを欲しがっている金にうるさい男」みたいではないか!

仕方がないので、その手をグーパーグーパーとしてみた。

あぁ!
しまった!
何気なく、時間つぶしのためにやったその行為が
「おいおい、お姉ちゃん、早くそのお釣りよこせよ」
と催促しているように見えるではないか!

僕は慌ててチョキを作った。

あぁ!
しまった!
グーパーグーパーは「ジャンケンの練習をしていた」と見せようと思いチョキを作ったのに、これでは「チョキの中に千円札を挟んでくれ」と催促しているみたいではないか!

……
……

ダメだ。
混乱している。

* * * * *

これは、昨日の劇場入りの前の一コマだ。
コーヒー豆一つ買うにもこのような騒ぎになる。
自分がせっかちであるが故に、このような事態を引き起こしてしまうのだ。

やめよう。
穏やかな人になろう。

うん。
今日こそは。
今日からは。



では、また。