ども、声をかけそびれた岡田達也です。



不二家のピーチネクターを買うべきか、それとも同じく不二家のレモンスカッシュを買うべきか悩んでいた。
どちらも不二家のドリンクの中では双璧の美味さを誇る缶ジュースだ。
我が家から徒歩5分かけてその自販機まで行くのは苦痛ではない。
何しろ手に入りにくいほど美味さまで増して感じる。
「飲みたい!」と思ったら最後、出掛けてしまう。

その日は自販機の前に辿り着いてもまだ悩んでいた。
すると。
目の前を小学生の男の子が通り過ぎた。
2年生か3年生か……
とにかくまだ小さい。
その子が、ランドセルを右手に持って、左手にコートを持って歩いていた。

可愛らしい光景である。
ただ一つ問題があった。
その子はランドセルを引きずって歩いているのだ。
つまり、ビジネスマンがキャリーケースを引くように、重そうなランドセルをズルズル言わせながら歩いていた。

思わず吹き出した。

少年は何をそんなに疲れているのか、ランドセルを背中に背負うこともなく、ズルズルと重い足取りで歩いているのだ。
テストで悪い点を取ったのか、
友だちとケンカしたのか、
忘れ物をしてしまったのか、
担任の先生にかなわぬ恋をしてしまったのか、
まさかの失恋なのか。
理由はわからない。
だが、とにかく、ランドセルを引きずっている。
それはマズイ。
どう見てもランドセルが傷付いてしまう。

ジュースで悩んでいる僕は声をかけようとした。
そう思った瞬間、道を歩いていたおじさん(いや、おじいさんかな)が、先に声をかけた。

「僕、僕、ランドセルを引きずっているよ!」

本当に優しげに、微笑みながらだった。
そりゃそうだろう。
あんな姿を見せられたらなんだか微笑ましい気持になる。

そんな大人たちの気持ちを知らない少年は、実に面倒くさそうに、面白く無さそうに、しぶしぶと言った表情で、でもでも可愛いのはちゃんとその注意を聞いて、ランドセルを背中に背負おうと努力し始めた。
おじさんはその姿を見て満足そうに頷きながらその場を去った。

が。
背負おうとした少年には困難が待っていた。
左手がコートで塞がっているため上手く背負えないのだ。
僕はジュースを買うことをすっかり忘れ、ことの成り行きを見守った。
少年は1分ほどランドセルと格闘していただろうか?
なんとか背中に背負うことに成功した。
そして、意気揚々と歩き始めた。
僕はその後ろ姿を見て爆笑した。

今度は左手に持ったコートを引きずっていた。


なんだか良いものを見た。

少年よ、お母さんに怒られないようにね。



では、また。



告知

いよいよ明日に迫ってきました。
視聴の準備は整いましたか?


AmebaStudio Reading Room
~アメスタ朗読劇シリーズ~
「5 years after」


20歳の男は苦しんでいた。

そんなある日、見知らぬ男から電話がかかってくる。
男は5年後の自分だと名乗る。
25歳になった男は人生絶頂だった。
そんな中、30歳になった男から電話がかかってくるが…

3人の俳優がお送りする1人の男の人生。

作・演出:堤泰之(プラチナ・ペーパーズ)

出演者:
岡田達也(演劇集団キャラメルボックス)
笠原浩夫(Studio Life)
曽世海司(Studio Life)

放送日時:2014年3月21日(金)19:00~20:00(生放送)

詳しくは下記の公式HPをご覧ください↓
http://studio.ameba.jp/user/ticketBroadcast?stage_id=39

*この放送は生放送です。
*視聴方法などは上記HPでご確認ください。

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