ども、ふられた岡田達也です。



右を見ても左を見てもCROCS(クロックス)である。

クロックス。
ご存じだろうか?
合成樹脂でできた軽くて履きやすい靴である。
カラーバリエーションがたくさんあり、穴がボコボコ空いている。
そしてワンポイントにワニがデザインされている。

ここ10年であっという間に世間に広まった。
とくに子供たちの間では大流行し、「クロックス・キッズ」だらけになった。
もちろん演劇界でも稽古中やら仕込み中やらはもちろん、普段履きにしている俳優も多い。

僕も最初は、サンダル代わりに気楽に履けて、ちょっと気が効いてるかんじに惚れて、後輩のクロックスを取り上げて試し履きしてみた。
これが、ダメだった。
つまずくのだ。
これはきっと僕の歩き方のクセの問題だろう。
ちょいちょい、つま先が引っ掛かる。

「ちぇ。なんだこの靴。ちょいとばかり世間でもてはやされ、チヤホヤされていい気になりやがって。元々こんな派手な靴、趣味じゃねーよ。二度と履くもんか」

完全なる逆恨みである。

* * * * *

先日、東京が大雪に見舞われた。
きっちり積もった。
がっつり積もった。
完全なる雪道となった。

僕は鳥取出身である。
今はそうでもないが子供の頃は雪国と呼んでも良いほど積もっていた。
雪道の歩行には慣れている。
多少の雪なら問題はない。
雪を踏みしめて歩けば良いだけだから。
面倒なのは「雪解けを始めた日から」だ。
道が池のようになる。
そうなるとさすがに普通の靴ではマズイ。
歩き方がどうあれ、長靴なりブーツなりを持っていないと話にならない。
だが、僕はどちらも持っていない。

普通の長靴はお洒落じゃない。
スノーブーツも冬だけの使用になるからもったいない。
クロックスを嫌ってはや数年。
だったらここはクロックスに詫びを入れて、あそこのブーツを買おう。
そうすれば雪だけじゃなく雨の日にも履ける。
大雪の日、僕はクロックスのお店に出掛けた。

ある。
メンズのブーツが2種類。
しかも大量に壁に飾ってある。
うん。
買おう。
クロックスよ、バカにしてて悪かった。
お世話になるよ。

財布を開いた。
5000円入っていた。
ワオ。
46歳の財布の中身が5000円か。
これじゃ買えないじゃないか。
まぁ、いいか。
これだけあるんだ。
明日買おう。

* * * * *

翌日、予想通り雪解けが始まった。
道は池のようになり、特に、横断歩道の端っこはどこを歩いてもアウトだった。
僕はクロックスのお店に向かった。
ところが。

……無い。
ブーツが、無い。

目の前で男性が最後の一足を試し履きして「じゃぁ、これをください」と言って買っていった。
僕は店員さんに確認した。
「あのー、メンズのブーツは?」
「申し訳ございません。もう残っておりません」

ガーン!
嘘でしょ?
昨日、あれだけあったのに!

考えることはみんな同じなのか。
雪解けに備えて慌ててクロックスを買ったのか。
なんでだよ。
みんな長靴買えばいいじゃん。
(オマエが買えよ)

……クロックスを嫌ったバチが当たったのか?
見事にふられた。


なんか、きっと、このまま買わない気がする……。
縁ってあるよな。



では、また。