ども、心意気にうたれた岡田達也です。



僕は一人芝居が苦手だ。
理由は単純。
「舞台上に関係性が存在しない」からだ。

役者は上手い方が良い。
役者は面白い方が良い。
役者は魅力的である方が良い。
それは間違いないし、そうでなければお金を払う価値がない、とも思っている。

が。
上手くもなく、面白くもなく、魅力的でもない俳優さんが舞台に立つこともある。
恥ずかしながら20年以上芝居をやってる自分もその一人だ。

だけど。
舞台の上に、二人以上の人間が存在すれば、否が応にも関係性が生まれる。
そうすれば、上手い下手はさておき、お見せできる何かが発生する。
……と、僕は信じている。

* * * * *

多田直人が一人(独り)芝居に挑戦するという。

元々はそんな予定ではなかったそうだ。
だが、もろもろの事情で、あの一人芝居の最高峰『審判』に挑戦することになったらしい。

僕は心の中で思った。
「なんで、そんなものに手を出すんだ!やめておけよ!」と。

昨日、初日を観に行った。

130分、舞台上で、覚悟を決めた男が、客席に向かって、全身全霊で闘っていた。

なんて潔さだろう。
なんて格好良さだろう
なんて度胸だろう。

普段のヤツはただの色白男で、筋肉のカケラも見えない柔肌の持ち主で、どうしようもないゲーマーで、コーラを飲んでいるだけの男だ。

そんな男が、普段のダメさを微塵も感じさせない、りっぱな俳優として、一人芝居をやっていた。

すごい。
僕にはマネできない。

内容は重い話だ。
「戦争中、極限状態になった捕虜が仲間の人肉を食べる」という話だ。
決して万人受けする話ではないと思う。

だけど
もしも
30歳という、右肩上がりな時期の、多田直人という人間に1mmでも、1ccでも、1ミクロンでも興味があるなら、絶対に観て欲しい。

ヤツがチラシの裏面に書いているではないか。

(以下、抜粋)
自分で企画しておいてなんですが、60歳になって、今より少し貫禄のある僕が「あの公演は私の演劇人生のターニングポイントだった」とか言っているような気がします。今、僕は30歳です。「覚悟」を持って、ターニングポイントを迎えようと思います。
(ここまで)

間違いないよ、多田。
今、この芝居をやって良かったんだよ。
絶対にそう言える。
オレが保証する。


まぁ、これ以上真面目に勧めても僕らしくないので、最後に終演後の2ショットを掲載しておく。
彼のやつれた感じを見ていただければ、どれだけ大事なものを削って頑張っているかが理解してもらえると思う。



ちなみに。
僕は日焼けサロンに行ってないし、多田は白粉(おしろい)を塗ってるわけではない。

それと。

初日を終えたヤツのブログ
多田直人の『眼鏡日記』
http://ameblo.jp/megane-diary/entry-11750845687.html



では、また。