ども、滑り出しよろしくない岡田達也です。
昨日の日記の一節
「今、本当に、たった今スタートした。
早稲田の大迫くんが先頭に立っている。
おそらく1区の区間賞は彼だろう。
1区の走り方を知っている。」
しっかりハズレている……。
結果、彼は後半失速して5位だ。
「ちなみに。
今年の僕のライバルはオムワンバ選手である。
頑張れ、山梨学院大学。」
僕が余計なことを書いたからだろうか?
オムワンバ選手、右脚の腓骨を疲労骨折して途中棄権だった。
彼、今年は仕上がっていたのに。
上田監督も彼の調子の良さを語っていたのに。
良いスタートをきっていたのに。
本当に残念だ。
つーか、僕が日記に書いたことはすべて裏目に出ている気がする……
* * * * *
「箱根を観ていると、自分の脚が早くなった気がしてならない」
と、昨日書いた。
これと同じような話を聞いたことがある。
昔、加藤健一事務所に出演したときのこと。
憧れのカトケンさんである。
僕の心のバイブルと言っていいほど大好きな邦画『麻雀放浪記』で「女衒(ぜげん)の達」を演じた人である。
僕がどれほどあの映画のことが好きなのか、それを語るチャンスをうかがっていた。
ある日の稽古後の飲み会。
カトケンさんと隣の席になった。
僕はここぞとばかりに語った。
熱く、熱く、暑苦しく、語った。
きっとカトケンさんは迷惑だったろうに、ニコニコと笑顔を浮かべたまま若造の話に耳を傾けてくれていた。
そして……
「実はね、僕はあの映画を撮るまで麻雀はできなかったんだよ」
えっ!そうなんですか?
驚きです!
見事な牌さばきでしたよ!
「いやいや(笑)。本当に、撮影が決まってから特訓されてね。あの撮影の空き時間も、和田監督から「ずっと牌を触ってろ!」って指示が出てたんだ(笑)」
そうだったんですね。
「鹿賀丈史さんや加賀まりこさんは上手かったからね、よく教えてもらってた」
す、すごい贅沢ですね。
「でね、これは余談だけど……」
なんですか?
「僕も若かったからね、麻雀を教わると、なんだか自分が強くなった気がしてね」
あぁ、わかります。
「それに、あんな撮影現場の空気の中で打ってるから、とくにね勘違いしちゃって」
ですよね!
「撮影が終わって、お芝居に戻って、地方に行くでしょ。でね、仲間と雀荘に行ったりしたんだ。そうするとね「あ!女衒の達だ!」って大騒ぎになるんだ(笑)」
そうなりますわ!
「で、僕の卓のまわりに人だかりができるの。みんなが「こいつどんな麻雀をうつんだろう?」って興味津々で囲まれる。その視線がまた厳しくてね」
そうでしょうね、みんな博打打ちですから。
「で、僕がつもって、牌を捨てる。それを2回くらい繰り返したら、みんなその場を離れていくの。「あー、こいつ、こんなもんだ」って(爆笑) 恥ずかしいったらなかったな(笑)」
いやー、笑った、笑った。
きっとそうなる。
麻雀はある程度打てるようになると、他人の力量などすぐに見極められるようになる。
ギャンブラーたちの目には、カトケンさんの技量を見抜くのに二回りもあれば十分だったんだろう。
「若いときって影響されやすいんだね」
いえいえ、かとうさん
僕はこの歳になってもまだまだ影響されてますよ。
たぶん死ぬまでこんな調子で生きていきます。
でもね、その気になるのもたまには良いんじゃないかな、そんな気もしてます。
さて、今年は何に影響されるんだろう?
では、また。
余談だけど……
その数日後、カトケンさんからプレゼントがあった。
「岡田くん、これは、僕が撮影現場で練習していたときに使っていた麻雀牌。キミにあげるよ」
あまりの驚きと感動で言葉にならず、そのケースの蓋を開けた。
すると
「岡田くんへ 女衒の達より」
という色紙が入っていた。
「この名前でサインしたのキミが初めてだよ。世界で一枚だけね(笑)」
いわずもがな、僕の宝物である。
『麻雀放浪記』ファンのみなさん、うらやましいでしょ?
自慢しても良いですよね?