ども、飲み物の恨みは海よりも深い岡田達也です。



話は18日までさかのぼる。

その日、達也汁の発送作業をした。
リーディング公演もあり、細見の芝居のセリフ覚えもあり、父親から送られてくるクロスワードの答えも探し、と忙しい日々に追われ、ずいぶん発送するのが遅くなってしまった。
そのお詫び……、というほどのものでもないが、裏表紙をめくったところにサインという名の落書きをしておいた。
ちなみに『岡田達也』と書いてある。
ちなみにそのサインを考えたのは上川隆也先輩である。
だから二人のサインはちょっと似ている。

閑話休題。

作業を手伝ってくれたのは小多田直樹くんと今井くん。
彼らは僕なんかよりずっと手際良く作業をこなし、あっという間に終わらせてくれた。

事件はここで起こった。

15日のリーディング公演を観に来た石川師匠がモルツのロング缶を6本差し入てくれていた。
僕は、この日の発送作業が終わった後3人で乾杯しようと、ネビュラの冷蔵庫に冷やしておいた。

つまり、冷蔵庫には、6本のロング缶が冷えているはずである。

「小多田、冷蔵庫にビールが6本冷えてるからとりあえず3本取ってきて!」

「達也さん、大変です!5本しか入ってません!」

……
……

血の気が引くとはこのことだ。
温厚で柔軟で博愛主義者で貧乏暮らしで知られるボクだが、こんな暴挙を許すほど穏やかな性格ではない。
血管が4本ほどちぎれた音が聞こえた。

誰かが、ボクの、大切な、ビールを、パクった。

ネビュラの社員たちが苦笑を浮かべ、恐る恐るボクに話しかけてきた。

「あのー、達也さん、実はかじもとくんが……」

あ?
なんだ?
あの宮崎の小僧がどうかしたか?

「お客さんからビールグラスをいただいたらしく、ちょうど冷蔵庫にビールが入っていることに気付いて、試し飲みしてました」

ちなみに確認するけど、かじもとはオレのビールだって知ってたのかな?

「はい。それも伝えたんですが……」

ほほぅ。
試し飲み。
オレのビールで。
しかも確信犯。

昨日、畑中智行のことをハナタレ小僧と書いたが、鍛治本大樹などはハナタレの部類にも入っていない。
もはや赤子だ。

そんなヤツが、岡田達也のビールを奪い取った。

今、ヤツは空想組曲の稽古中らしい。
その稽古が無事に終わればいいのだが。
ひょっとすると……。

「出演者降板のお知らせ
出演予定だった鍛治本大樹さんは体調不良により降板を余儀なくされました。
よって代役に岡田達也さんをお呼びしました。
出演者一丸となってこの危機を乗り越えていきたいと思います

ほさかよう」

という内容の文章がHPにアップされないことを祈るばかりである。



では、また。