ども、ろくなことを考えない岡田達也です。



劇団OB今井義博くんと飲んだ。

彼は実にかわいそうだ。
僕が飲みたくなると呼び出され、どこからでも飛んでこなくてはならない。
断っておくが彼は先輩である。
僕が飛んでいくのが筋というものだ。

しかし。
岡田達也に世の中の道理は通じない。
昨日も今井くんは飛んできてくれた。

公演が終わるたび、良いことも悪いことも発散する相手は決まって彼である。
それは「彼がいいかげんな人間だ」ということを僕が誰よりも認識しているからに他ならない。

今井くんが現役時代の芝居を観ているお客さんは
「え?今井義博さんがいいかげんな人間?そんなはずはない!あの人は誠実な人に違いない!そうでなければあんな芝居できるわけがない!何を言ってるの岡田達也!」
と思われるだろう。
しかし、おそらくではあるが、この日記を読んでくれている劇団員は大きく頷いているはずだ。
「さすがに岡田達也はよく理解している」と。

で、ここが大事なのだけど。
いいかげんな人間なんて失礼な表現だが、僕の話し相手はそうでなければならない。
そうじゃないと務まらないから。
だって僕が誰よりもいいかげんな人間なのだから。

昨日の話題もかっとんでいた。
いいかげんの二乗だ。
そりゃ、とりとめがなさ過ぎて蛇行の連続になる。
(ま、飲み屋での会話などそれが普通なのかもしれないけど)
「男はどうしようもない生き物だ」とか
「どうしたらヒットが打てるか?」とか
「ただ酒を飲むにはどうすればよいか?」とか
「オレノグラフィティと三浦剛の共通項」など
今思い返しても「もう少し有益なことは語れないのか?」と突っ込みたくなる内容ばかりだった。

その中の一つに「署名をするとき一言添えるとしたら何を書くか?」という話になった。

例えば成井さんなら『一期一会』と書く。
うん。
良い言葉だ。
なぜ成井さんがその言葉をチョイスしているのか理由を聞いたことはないが、とても納得がいく。

我々が大好きな作家の沢木耕太郎さんは『酒杯を乾して』と書くらしい。
うん。
かっちょいい。
なぜ沢木さんがその言葉をチョイスしているのか理由を聞いたことはないが、これは彼の作品タイトルにもなっている言葉だ。

それにしても……、意味がわからん。
「しゅはいをほす」とはなんぞや?である。

ま、それはさておき。

そのあと帰宅しているとき、延々考えた。
何を書けば良いのだろう?
どんな言葉なら自分らしさが出て、受け取った相手が納得してくれるんだろう?

成井さんのように四字熟語で攻めるか?
はたまたお釈迦様の言葉でも引っ張ってくるか?
意外なところで舞台のセリフを書いてみようか?
しかし「それがおまえのTRUTHか」などと書かれた日には、受け取った人が大いに困るであろう。
やめておこう。

そこまで考えたとき気が付いた。

あ。
……僕が署名することなど無いや。
だって作家じゃないんだから。

くそぅ。
無駄な時間を使わせやがって。
なんで今井くんはあんなことを訊いてきたんだろう?

次回飲むときに確認しよう。



では、また。