ども、いまだに憧れる岡田達也です。



僕が子供の頃に憧れた職業がいくつかある。

誤解があるとイケナイので書いておくが、今、僕がこんな大人だからといって
「杜氏(とうじ お酒を造る人のこと)になりたい」とか
「覚醒剤を密輸する人になりたい」とか
「パチンコのゴト師(いかさまする人のこと)になりたい」とか
「総理大臣になって日本を動かしたい」とか
そんなことを思ったことはない。

今よりももう少し普通の人間だった僕が憧れたのは「阪急電車の運転手」である。

おおっ!
自分で書いておいてなんだが、何とも可愛げのある夢ではないか!

子供の頃、家庭の事情で半年ほど大阪の茨木市というところに住んでいた。
駅で言えば阪急京都線の総持寺駅。
だからどこに行くにも阪急を利用していたのだけど……。

何が素晴らしいって、あの車体である。
見事な小豆色のボディカラー。
(これをマルーンカラーと呼ぶそうだ)
あまりにも上品でうっとりする。
おまけに車内の座席も深い緑のモケットシート。
こいつがまた上品で良い。
さらには車内の雰囲気を損なわないようにするために握り房などは排除されており、落ち着いた木目の壁面が目に優しい。

子供でもその美しさは十分に理解できた。
JRとも阪神とも京阪とも南海とも近鉄とも違う。
(ついでにいえば乗客の柄も全然違った。阪急のお客さんは上品な人が多かった気がする。……気がするんだけどな。違うかな?)
もっと言えば関東の私鉄ともまったく違う、阪急オリジナルのこだわりが見え隠れする電車だった。

それともう一つ。
阪急電車のターミナル駅は「梅田駅」だ。
もしも行ったことがない方は、是非一度、梅田駅の改札を通って欲しい。
圧巻の、本当に圧巻の景色が目に飛び込んでくる。
京都線×3
宝塚線×3
神戸線×3
合計9本の発着場が一列に整列しているのだ。
その迫力と、美しさ。
まれに9本のホームすべてに電車が止まっているときなどはため息が出てしまう。
僕は子供のとき、梅田駅のホームに立ってずっと電車を眺めていた。
1時間なんてあっという間だった。
保証する。
日本で一番のターミナル駅は阪急梅田駅だ。

* * * * *

『無休電車』の台本をもらったとき「おや?」と思った。
そして作家の丸尾丸一郎くんに訊いてみた。
「ひょっとして丸尾くんは阪急電車が好きなの?」
「はい!大好きです!ずっと阪急電車に乗ってましたから」

なるほどである。
その後、しばらくは阪急電車の素晴らしさで盛り上がったのは言うまでもない。

* * * * *

鹿殺しのお芝居には楽隊が登場する。
コレが一つの売りなのだけど、今回のお芝居での楽隊はいつにも増して好きだ。
その理由は観てもらえればわかってもらえると思う。


やっぱり阪急電車はステキだ。
本当に阪急電車の運転手になりたかったなー。



では、また。