ども、おばちゃんキラーこと岡田達也です。



大阪芸術大学時代、学食のおばちゃんのハートを鷲づかみにし、カツ丼のお肉を1.5倍増にしていた話を書いた。
そんなことを書いていたら、ついでに高校時代の話を思い出した。
……いや、思い出してしまった。

自分はおばちゃんを惑わしてしまう人間なのだろうか?

* * * * *

鳥取工業高校建築科時代の話だ。
学食があった。
メニューは
そば・うどん 160円
カレー・ラーメン 230円
定食 300円
という少数精鋭のラインナップ。
(値段は30年前のもの)
弁当の人間が多かったが、我が家のように“母親が大黒柱として働いている家庭”は弁当を作れない日もあり、そのときは食費をもらっていた。
金額は300円。
一番高い定食が食べられる値段だ。
だが。
それでおいそれと定食を食べてはイケナイ。
高校生というのは「一日のうち12時間は腹が減っている生き物」なのだ。

学食の横にある売店でパンを売っていた。
まず、2時限目と3時限目の間にパンを食べる。
そして4時限目が終わると学食を食べる。
そのようにして、こまめに腹を満たしてやらなければ、即飢え死にしてしまう。

だから、パンが大切になってくるのだが……。

パンの絶対数も種類も少なかった。
その中で特に人気があったのが、クリームをサンドしたパンに上からチョコがかかっておりそれが銀色のセロファンに包まれている、通称「銀チョコ」。
これは数も少なく早めに買わなければ絶対に残っていない代物だった。

「おばちゃーん!銀チョコある?」
「ごめん!もう無い」
「あーっ!」

3時限目の後だと決まってこのような事態になる。
2時限目の後だってうかうかしてられない。
廊下をダッシュしなければ他のクラスのヤツに取られてしまう。
なにしろ建築科は他よりも遠い場所にあったから。

僕はちょっと大袈裟に嘆いた。
「あーぁ、建築科は不利だよな。オマケに3年生は3階だし」
すると……
「岡田くん、取っておいてあげようか?絶対に買ってもらわないと困るけど」
「買う!買う!絶対買う!1週間続けて買う!」
「(笑)」

別に“お涙頂戴”というような芝居をしたのではない。
本当に嘆いただけだった。
だけど、毎日ダッシュで駆け込み、本気でガッカリする姿を見ていたおばちゃんには、何か訴えるものがあったのだろう。
この取り引きにより、僕は「銀チョコ」に確実に有り付けることになった。

クラスメイトは不思議がった。
「なんで、オマエだけが?」
何でだろう?
そんなことは僕にも分からない。
賄賂も渡してないし、投げキッスもしてないし、ウィンクもしてない。
ましてやおばちゃんの弱みを掴んでいたわけでもない。

うーん……。
やっぱり「二つ目の声」を取得していたのだろうか?
オレ、いつかバチが当たるな。



では、また。