ども、縛才(博打の才能)が無いと思われる岡田達也です。
オヤジがギャンブル好きだった。
競馬、麻雀、パチンコ……
必然的に、僕は子供の頃から鉄火場に連れて行かれることが多かった。
今よりも大らかでいて、熱い時代だ。
僕は小学生の頃からパチンコ屋に出入りしていた。
今のご時世なら絶対にあり得ないことだが
当時、そんな子供はわんさかいた。
で、
「床に落ちているパチンコ玉をかき集め、オヤジに渡して褒められる」
という
今書いていても涙が出そうな幼少期を送っていた。
イソップもグリムもおとぎ話も
何一つ教えてくれなかった父親だが、
「賭け事が人生に何をもたらし、何を奪っていくのか」
を身をもって叩き込んでくれた。
おかげさまで
「ここぞ!」という場面では勝負強さを発揮するようになっていった。
* * * * *
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
無事に東京公演の千秋楽を迎えた。
僕もバラシに参加した。
今回の音響部のメンバーは……
畑中智行
筒井俊作
多田直人
そして
僕。
当然、僕が一番古株だ。
言わずもがな、僕が一番ベテランだ。
再度確認するが、僕だけが40歳を超えて誰よりも長く生きている。
バラシというのは多く荷物を運ばなければならない。
何度も何度も往復して、せっせと重い荷物を運ぶ。
あるタイミングで荷物が二つ残っていた。
二つ、だ。
当然、若い方から順に多田直人と筒井俊作が
「大丈夫です!僕が持ちますよ!」
と言うだろう、そう思っていた。
だが。
畑中智行が口を開いた。
「大将!(彼は僕をこう呼ぶ)ここはひとつジャンケンで決めましょう!」
バカヤローである。
何故ジャンケンしなければならないのだ。
しかも、オマエだって先輩なんだから二人に持たせればいい。
しかし、畑中智行をこんな風にしてしまったのは間違いなく僕だ。
パチンコもスロットも知らなかった彼を
『アカギ』や『天』をバイブルだ!と言うような人間に変えてしまったのは僕なのだ。
それは自覚がある。
仕方がない。
その勝負、受けてやるよ。
本当の勝負師はこんなところで負けたりはしない。
ハッキリと格の違いを見せつけてやる。
* * * * *
荷物を運びながら思った。
「……なぜ、自分が一番最初に負けるんだろう?」と。
そして僕の隣で荷物を運んでいる男を見ながら思った。
「……なぜ、二番目に畑中が負けるんだろう?」と。
まぁ、いい。
考え方一つだ。
こんなチンケな勝負で運を使うことはない。
ここぞという場面で力を発揮すればいいのだ。
そうだ。
それが勝負師だ。
さ、次の勝負に向けて力を蓄えておこう。
……オレと畑中、よえー。
では、また。
追伸
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
いよいよ神戸公演が始まります!
是非、見届けてやってください!