ども、楽しんでいる岡田達也です。



終演後に飲んでいた。
日曜日に観に来てくれる知り合いも合流した。
その人が尋ねてきた。

「今回の芝居はどうですか?」

何ともはや抽象的な質問で
どう答えても正解で、どう答えても間違いになってしまう
そんな問い掛けだけだった。
ま、でも、演劇をやっていると実際にこう訊かれることはよくある。

何て答えようかな?
そう考えていると一緒に飲んでいたみのすけ先輩が先に口を開いた。

「楽しいよ。……うん。こんなに楽しくて良いのかな?楽しいだけで良いのかな?ってちょっと心配になるけど」

なるほど。
確かにそうだな。

先輩は続けた。

「芝居で楽しいだけってあり得ないじゃん」

そうなのだ。
芝居で楽しいだけ、なんてことはまず無い。
演劇とは負荷のかかる作業で
(と、僕は思っている)
そのストレスと戦わなければ面白いものは生まれない
とも考える。

先輩は続けた。

「でも、そうなんだよな。首藤くんのなせる技かな?彼の元に集まる人たちもみんな気持ちいいし」

あ。
なるほど。
演劇が嫌いで、演劇を破壊しようとして、
その上で演劇で生きている人がこの座組の座長なのだ。
通常の方法論なんてはまるわけがないか……。

『フィッシュストーリー』は奇跡のお話。
だから
「芝居やっているのに楽しいだけ」
なんて奇跡的なことが起きたって不思議じゃない。

* * * * *

カーテンコールで
石川よしひろくんの『ホームラン日和』という歌をみんなで歌っている。
僕はこの歌が大好きだ。
そして、
首藤さんを囲んでみんなで歌っている時間がたまらなく好きだ。
さらに
客席で楽しげなお客さんの顔が見えるので幸せな気持が倍増する。

本当に「楽しいだけ」なんてことはあり得るのだ。

* * * * *

『フィッシュストーリー』とはホラ話という意味があるらしい。
でもでも
「今回の芝居が楽しいだけ」
というのは決してホラ話じゃない。


是非、確かめにいらしてください。
そして、もしも、知っていれば、
小さな声で良いから『ホームラン日和』を口ずさんでみてください。

あ。
じゃあ、僕の大好きなフレーズだけ書いておきますね。

「暗い雨でも 雲の上では いつでもホームラン日和なんです」



では、また。