ども、ひょっとするとひょっとしたかもな岡田達也です。



『容疑者χの献身』、数名のホームレスが登場する。
初演は刑事役の3人が二役でやっていたが
今回は新人くんたち3人がその重責を担当している。
しかし良く見ると、ホームレスらしき人間があと2人出ているのが分かる。
舞台監督の村岡晋さんと、舞台監督助手の八重樫さんだ。
もちろんセリフがあるわけではない。
お客さんには見えない部分で転換を担当しているのだ。
ただし、ほとんど見えないとは言え舞台上に登場するため
きっちりとホームレス衣裳を着て役作り(?)に励んでいる。
こう言っては何だが
晋さん、ホームレスの格好が似合いすぎている。
ホームレス以上にホームレスな匂いを醸し出している。
この人、ひょっとすると本物?
と疑いたくなるフィット感だ。
あの衣裳の着こなしを見てしまうと
僕のメガネや白衣など付け焼き刃にしか思えなくなる。
負けないようにしなければ。

僕が23歳でキャラメルボックスのオーディションを受けたとき
役者としては見事に不合格で裏方として拾ってもらった。
主に製作業務を担当していたのだが
当時は人数も少なかったので
舞台に関する作業もたくさんやらされた。
しかも、僕は配送の仕事をしていた経験があったので
トラックの運転という舞台作りには欠かせないところが担当できた。
小道具を借りに行く、大道具を運ぶ、材料の買い出し
いつでも晋さんと一緒に行動していた。

晋さん
とても優しい。
いつもニコニコしながら
舞台に関する全てのことに対して気配り&目配りができる。
舞台監督なんてそうでなければ務まらないだろうと思うが
(それほど大変な仕事なのです)
本当に適任だと思う。

そんな晋さんの元で仕事をしていた影響を僕はまともに受けた。
「あー、自分はきっと役者にはなれないだろうから、その時は晋さんの弟子にしてもらって舞台監督を目指そうかな?」
本気でそう思っていた。
一緒にトラックに乗るたびに
「舞台監督の仕事は何か?」
「どうすればその職業に就けるのか?」
「そうなるには何が大事なのか?」
僕はしつこく訊いていた。
晋さん、面倒くさかったろうに、いちいち丁寧に解説してくれていた。

間違って役者になってしまったが
ひょっとすると
今、舞台上でホームレスの格好をして転換していたのは僕かもしれないのだ。

昨日、晋さんに
「最近、達也のブログを毎日読んでるんだよ」
と言われ
「じゃあ、明日は晋さんのこと書かせてもらいますよ」
と宣言したので書いてみた。
本人はやめてくれと懇願していたが書いたもの勝ちだ。
下手に持ち上げるわけではないけど
晋さんと仕事が出来るのはとても幸せなことなのだ。

もしも舞台上で本物のホームレスを見つけたら
それが僕の師匠だったかもしれない晋さんです。
(って書いておいてなんだけど探さないでね。舞台に集中してよん)



では、また。