ども、雨の音で目覚めた岡田達也です。



せっかくの連休なのにね。
遠出を計画していた方には残念な空模様。

もしかすると以前にも書いた話かもしれないけど……。
(いや、絶対に書いてるな)

岡田家はゴールデンウィークに家族で出掛けることなどなかった。
たったの一度もなかった。
父親はサラリーマンではなかったし
母親は看護婦さんだったので
それぞれのお休みはカレンダーとは無関係だったから。
だけど、僕は別段不満もなかった。
残念ながら鳥取には大きな遊園地もないし
他に行きたい場所など無かったから
「絶対にあそこに連れていってくれ!」と駄々をこねたこともない。
そもそも仕事というのはそういうものだと理解していたので
ワガママ言ってもしょうがないし、と子供心に思っていた。

ある年の僕の誕生日。
(おそらくは10歳か11歳のどちらか)
その日は家族3人で外食をしようという話になっていた。
3人で旅行に行ったことなど皆無だから
3人で外食するだけでも、それはちょっとしたイベントであった。
「何を食べたい?」
そう尋ねられて僕は思いきって寿司をリクエストした。
回転寿司が誕生してから随分安価になり食べやすいものに変化したが
当時はまだ寿司は回転していなかった。
安い寿司と言えば「小僧寿司」というチェーン店が全国に展開し始めた頃だ。
(知っている人いるかな?)
寿司なんてまだまだ高嶺の花の存在だった。
こんな機会でもないと食べられない。
そんな計算も働いておねだりしていた。

2月13日。
普段の僕の行いが悪いのか
(まだ小学生だろう)
その日は生憎の大雪だった。
鳥取市内の積雪量もハンパ無く
横殴りの雪が吹雪いていた。

家を出て寿司屋に向かう途中で
「今日は寿司はやめにしない?」
母親がそう声をかけてきた。

「え?なんで?」
驚いて聞き返した。

「ちょっと寒すぎるし、今日はラーメンか何か温かいものにしようよ。寿司はまた連れていってあげるから」

確かに母はこう言ったのだ。
とても優しい口調でそう言った。
人の神経を逆なでする要素など何一つ無い。
それに、その提案は非常に正しいと思われた。
それほど寒かったのだ。
なのに、僕はそのセリフで頑(かたく)なになった。

「いやだ。絶対にお寿司がいい」

今思えば「初めて3人で出掛けるお寿司屋さん」というのが
自分の中で非常に大きなイベント性を帯びていて
引っ込みが付かないほどテンションが高くなっていたのだろう。
普段ならそんなワガママを言わない自分がそこだけは譲らなかった。

そうして3人で寿司屋に行き食事をした。
したのだけど。

僕は何を食べたかさえ覚えていない。
ただただ、譲らなかった自分に気まずさを覚え
自己嫌悪満載でお店を出た。


この日記を読んでいる全国の小学生たちよ!
(いるのか?そんな子供が?)

もしも、今日ディズニーランドに行く予定になっていて
お父さんかお母さんが
「今日は雨だからやめておこうか?」
と提案してきたら素直に受け入れなさい!
この雨で行っても風邪ひくだけかもしれないし。
キミは若いからまだいいが
お父さんお母さんの年齢を考えるとキミほど丈夫じゃないんだよ!
風邪を通り越して肺炎になるかもしれない!
今日は温かいラーメンでも食べて室内で遊びなさい!
必ず、また行ける機会はやって来るから。

ここでワガママ言うと
このおじさんみたいに後悔することになるよ。
ずっと忘れられない苦い思い出なんて
少なければ少ないほど良いに決まってる。
人生の先輩からのアドバイスだ。
よーく、聞いておきなさい。



では、また。