ども、童心に縁がないと言われる岡田達也です。



昨日、書ききれなかった「ノンフィクション」についての続きを書こうかと思ってたんだけど
それはまた今度にさせてくださいな。
ちょいと予定変更で、昨日観た芝居の話を。
思ったことは冷めないウチにね。

* * * * *

石川寛美さん。

キャラメルボックスの大先輩である。
身長は小さい人だ。
でも、声は大きい人だ。
オマケにその声が超音波に近しい。
だから、半径20m以内に近寄ると石川さんが居るのが分かる。
よって体は小さくても存在感は大きく感じられる。

……ふむ。
言葉というのは便利なモノだ。
先輩なので遠慮気味に書いたらそれらしい文章に仕上がった。
ちょっと書き直してみよう。

キャラメルボックスの大先輩であるにもかかわらずイジリ倒したくなる人だ。
身長は小さい人だ。
でも、不用意に声が大きい人だ。
オマケにその声が超音波に近しいので、側にいると脳波を破壊されそうになる。
だから、居酒屋など公共の場所で彼女がしゃべったり笑ったりすると、半径20m以内に存在する他人様の会話が全てストップしてしまうという、大変迷惑な存在で「石川さん、うるさい!」と後輩連中によく注意されている。
よって、体は小さくても存在感は不必要にデカイ。

……ふむ。
言葉というのは難しいモノだ。
少しだけ本音を足してみたらまるで先輩をバカにしているような文章に仕上がった。
でも、バカになんかしてない。

石川さんは誰からも愛されている。

* * * * *

僕が初めてキャラメルボックスのオーディションを受けた後
「芝居はド素人のくせに喋りだけは妙に世慣れている。アイツはきっとオカマに違いない。落とそう」
という審査結果で落ちた後
「あのしゃべりは役者としてはNGだがチケットを売るにはもってこいではないか?」
という加藤昌史製作総指揮の判断で製作部として拾われた。

その出社初日。
エレベーターを待っていると石川さんにバッタリ会った。

「あ!岡田くんだったよね?」
「はい」
「今回は残念だったね」
「はい」
「でも、製作部に入るんだって?」
「はい」
「頑張ってね!」
「ありがとうございます」

そしてエレベーターを降りようとしたとき

「私、一緒にお芝居やってみたかったな」
「……」
「じゃあね!」

僕は役者のオーディションは受けたが
本気で俳優になりたいわけではなかった。
今ココで説明すると長くなるので省くが
「役者になる努力をした形跡」さえ残せればそれで十分だった。
製作部に入れただけで御の字だった。

ところが。
そんな僕に向かって、石川さんは
真っ直ぐな目で、笑顔で、なんの照れもなく、曇りもなく、
つまりは
社交辞令の欠片もなく
「一緒にお芝居やってみたかったな」
と言ってくれたのだ。
(後になって分かったが社交辞令など言える人ではない)

その正直者の言葉は僕の中に残った。
「もし、もしも、機会があったらもう一度オーディションを受けさせてもらおうかな……」

* * * * *

彼女の言葉はいつだって真っ直ぐに飛んでくる。
それは気持が真っ直ぐだからなんだろう。
そんな人が、初プロデュースでやりたかったことを実現してしまった。
彼女が大好きな絵本を舞台にした作品。
石川さんのやりたいことは真っ直ぐに客席に飛んできた。
温かい作品に仕上がっていたし
迎える客席側も負けないほど温かかった。
何より
客席にいた多くのちびっ子があれだけ笑っていたのだ。
それだけでも幸せな気持になれる。

もちろん
大人の人にも十分オススメできます。
是非、観て欲しい作品です。
8日まで 西荻窪 『遊空間がざびぃ』にて
土曜日、日曜日のお昼は売り切れのようです。
詳細はキャラメルボックスのHPで



では、また。



追伸

師匠、宣伝しておきましたぜ。
なんか、ください。