ども、大切なことを書き忘れていた岡田達也です。



昨日の日記『ハイシライス』の補足。

美味しいハヤシライスを求めて難波までやってきた2人。
ガイドブックで発見した「末廣軒」を発見した。
お店の前に出ている看板には「洋食の店」と書いてあるが
そのガイドブックには「ビフテキの店」と紹介してあった。
ココでも僕は天性の気の小ささを発揮していた。

「ビフテキの店ってことは、要はステーキ屋さんだろ?
そこで肉を頼まないでいるって大丈夫なのかな……?
「けっ、なんだ、この貧乏人が!ハイシライスしか頼まないのかよ!」
とか思われないかな?
「だから大学生は嫌いなんだよ。特に大阪芸大の学生はよ!」
とか思われたらどうしよう?
いやいや
百歩譲って学生だということがバレたとしても
大阪芸大までは分かるまい。
待て待て。
それ以前に
メニューにハヤシライスがあるってことは
それを食べる人がいるってことだから大丈夫なんだよ!
……。
いや、果たしてそうだろうか?
お金持ちの人たちは
ビフテキを食べた上でのハイシライス的な
「ワンランク上の贅沢」を楽しむために用意されているメニューかもしれないな。
やっぱりハイシライスオンリーってのは行儀が悪いのかな?
ああ……、どうすれば」

笑いたければ笑うがイイ。
お店の前に辿り着いたとき
僕は冗談ではなく
本気でそのような心配をした。
時間にして1秒か2秒だったが
頭の中はフル回転だった。

しかし。
僕の隣には一緒に本屋で立ち読みしてまで
「美味しいハヤシライスが食べたい」と願う彼女が満面の笑みで立っている。
もう引き返すわけにはいかない。

(今は食べたいものの情報なんて携帯で調べられるモンね。
便利になったものだ。
だけど「2人で立ち読み」という部分が
この思い出をことさら甘酸っぱくさせている。
嘘だと思うなら今すぐ2人で本屋に行って何かを調べてみなさい。
数年後には良き思い出になってるかもしれないから。
……。
あ、そのためには別れなきゃならないか)

話が逸れた。

僕は勇気をふるってお店に入った。

メニューを開く。
ある。
ハイシライスがある。
その他にもビフテキだけじゃなく
チキンライスやらドライカレーやら
洋食屋さんらしいラインナップが並んでいる。
うん。
大丈夫だ。
きっとビフテキを注文しなくても足元を見られることはないだろう。

だけど。
そこまで来ても僕の小心者の顔が消えることはなかった。
メニューをなめるように見てみると
左のページの一番下に「特においしいサラダ」なる品がある。

「特においしいサラダ」?

なんだか引っ掛かるネーミングだな……。
ん?
カッコ書きがしてある。

(スモークサーモン、コールドビーフ、ハム、セロリ、レモン入り)700円

おおっ!
閃いた!
これだ!
これですよね、神様!
大人の階段を上るためのヒントをココに用意してくださったのですね!

「ハイシライスを2つと特においしいサラダを1つください」

きたっ!
サラダをシェアして食べる!
これは格好が付いているではないのか!
お金がないからハイシライスだけ頼む、じゃないぞ。
お金がないからサラダを2つ頼めない、でもないぞ。

「大人だからサラダを分け合うために」
1つのサラダを追加で注文する。

完璧だ。
やったぜ。
オレ、今、完全に大人の階段登ってる。

ふー。
注文するまでに恐ろしく文字数を費やしてしまった。
この後は駆け足で書くけど
このサラダがビックリするほど美味しかったのだ!
上に書いた材料が細かく刻まれて
それらをコールスローのように和えてあるサラダ。
一口食べて思わず顔を見合わせたこと、忘れられない。
その後、2人は自宅でも何度もそのサラダに挑戦した。
全く同じ味にはならなかったけど
近しいものができたときは嬉しかったなー。
それ以来、ここでのデートはこの注文がマストになった。

瓢箪から駒じゃないけど
自分の小心者さ加減が思わぬメニューで出くわした、というお話。
もしも「末廣軒」に行ったときは召し上がってみてください。



では、また。



追伸

昨日の末廣軒、リンクが張れてないですね。
すみません。
でも、「日本橋 末廣軒」で調べればすぐに分かると思います。