ども、どうしても口に出せなかった岡田達也です。



昨日、久しぶりに髪の毛を切りに行った。

頭をいじられるのは気持ちいい。
カットされるのも
シャンプーしてもらうのも
大好きだ。
子供の頃、散髪してもらうたびに眠くなり
母親にそのことを話してみると
「ああ、きっと頭を触られるのは気持ちいいから、ついウトウトしちゃうんじゃないの?」
と言われ深く納得したことがある。

昨日も気持ちよくなる予定だった。

シャンプーをされていた。
「お湯加減はいかがですか?」
全く問題ない。
「はい、ちょうど良いです」
シャワシャワ洗われる。
「お痒いところはございませんか?」
あ。
つむじの、やや左より、45度くらいを、2cmほど進んだところに
ピンポイントでかゆみを感じる。
きっとそこをワシワシされたらさぞ気持ちいいだろう。
だが。
そのポイントを説明しにくい。
正確な場所は上に書いたとおりだ。
しかし、それを口にするのは躊躇(ためら)われる。
「こいつ、何を細かいこと言ってるんだ?」
と逆上され
いきなり爪を立てられて
頭皮が血だらけになるほど掻きむしられたら困る。
僕が選んだ言葉は
「あ、大丈夫です」
という、ザ・日本人の模範解答的なことだった。

歯痒い。
何でこんなに気が小さいのだろう?
後輩たちにはジャイアンと呼ばれているのに。
どれだけ内弁慶なんだ。

カットもすみサッパリした。
再びシャンプー台で髪の毛を流してもらい席に戻る。

ここだ。
この後の
ヘアトニックをかけられてからのちょいとしたマッサージが大好きなのだ!
もちろんマッサージと言っても
頭と肩と肩胛骨の間を押してもらう程度だ。
時間にしたら3分も無いだろう。
でもでも、そのオマケ感も手伝って、とても気持ちがいい。
僕は良い子で席に座りその瞬間を待った。

ところが……。

シャンプーをしてくれた若い女の子が
「少々お待ちください」
と僕の背後から離れてしまった。
ん?
ヘアトニックか何かを取りに行ったのかな?
だけど
鏡越しに見える彼女の姿は何か違う作業をしているではないか!
え?
うそうそ?
僕の元へ帰ってくるよね?
ダメだよ、他人の頭にサランラップなんか巻いてちゃ!
そんなの自分でやらせれば良いんだよぅ。
そのおば様、きっとキミよりもラップの扱いは上手いもん。

しかし。
その後も彼女は僕の元へ帰ってくることはなかった。
気がつけば僕の担当の男性がやってきて
「お待たせしました」
と、おもむろにドライヤーを手にしブローを始めてしまった。

えええええええっっっっっっっ!!!!!
マッサージ、ナッシーーーーンーーーーグッッ?????
あれ、大事なんだよおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!

……。
……。

「あのー、まだマッサージしていただいて無いんですけど」

言えば良かったのか?
言えば世界は動いたのだろうか?

わからない。
僕には、この熱い思いを伝える勇気がなかった。

中学の頃、友人に好きな女の子が出来たと相談され
「たつ、どうすればええだらぁか?」
と尋ねられ
「あのな、好きだって思っとるだけじゃ何も伝わらんだろ?好きだって言わな何も始まらんで」
と、訳知り顔で語っていた自分を殴ってやりたい。
口にするのは大変なんじゃ!


ああ、勇気が欲しい。



では、また。