ども、我慢強いところも持ち合わせている岡田達也です。



でかい風呂とサウナが好きだ。
昔からよく出かける。
先日も行き付けのスパに行った。
このスパも世間の流行に後れることなく
数年前に全面リニューアルを施し岩盤浴(低温サウナ)を増設した。
これが、良い。
普通の熱いサウナは我慢大会のようになってしまうが
岩盤浴は気持ちよく寝ていればよい。
それだけで驚くほどの汗が出る。
あの、
毛穴が開く感じ
代謝が上がる感じ、
体の中の悪いものが出ていく感じ
(もっと出した方が良いんじゃないか?)
とても気持ちがいい。
当然、昨日も湿度が高めの岩盤浴に入った。

全部で15人ほどが寝転がれる。
平日の昼間にもかかわらずずいぶん人がいた。
市場に並ぶマグロのようにゴロゴロと人が並んでいる。
やっぱり人気があるんだな、そんなことを思いながら
僕も空いているスペースにバスタオルを敷き寝転がった。

と。
話し声が聞こえてきた。
おじさんというか、おじいさんというか。
隣の女性に話しかけている。
「おい、おい!この後は、何時まで入るんだ?」

でかい。
話し声がデカイ。
基本的に岩盤浴はみんな静かに眠ってる。
いや、眠っていなくても横になってリラックスしているのだ。
静かにしているのがマナーだろう。
このデリケートな室内には似つかわしくないボリュームだ。
僕は「おじさん、うるさいな」と思った。

隣の女性が答える。
「あー、3時からロウリュウがあるだろ。それやって、休憩して、もう一回サウナ入って、それから下の風呂に入って……。あー、その後3階でご飯食べたいから4時くらいかな」

わぉ。
でかい。
話し声が負けじとデカイ。
おそらくは奥様らしき方なのだが、旦那を注意するどころか、
負けないボリュームで
しかも「4時」の一言で済むところを長々と解説を入れながら返答した。
こちらもこのデリケートな室内には似つかわしくないボリュームだ。
僕は「おばさん、うるさいな」と思った。

しかし、とりあえずこれで会話も終わったわけだし
これからは「静かになるのだろう」と思っていた。

甘かった。

ここから先、おじさんの独り言が始まった。
「ああっ!こりゃ、あちーな!熱い、熱い、熱い!」

当たり前だ。
サウナは熱いのだ。
これで熱くなければただの仮眠所ではないか。
それにしても独り言がデカイ。

「ああっ!おい、おい!熱いな!」
よほど熱かったのだろう。
奥さんに声をかけてしまった。

僕はここで淡い期待を抱いた。
「あなた、うるさい!ちょと静かにして!」
と窘(たしな)めてくれるのを。

結果は。

半分は正解した。
「ちょっと、うるさい!静かにして!」
発言は僕が望んだものだった。
が。
ボリュームはおじさんの独り言のかるく2倍はあるであろう音量だった。

僕は心の中でソッとツッコんだ。
「いや、あんたがうるさい」

ここまでの展開で
他の誰しもが文句も言わず
黙ったまま横になって夫婦の会話を聞いている。
我慢強い人たちだ。

さすがにこれで静かになるだろう、そう思った瞬間だった。

「ブーーーーーーーーーッ!」

……。
……。
屁である。
放屁である。
しかも立派な音で。
お喋りにも負けない大きさで。

まさかの展開ではないか!
こんなの誰が予想できよう!
厳密にはみんな横になっているのだから誰が屁をこいたのか分からない。
だけど、100%、その場にいた人は犯人を特定できたはずだ。
あの、うるさい、おじさん、だ。

僕はあまりの出来事に笑ってしまった。

さらに。
さすがにみんな出て行くかと思ったが
誰一人としてサウナを出る人はいない。

前々から薄々感じてはいたが
この国の人たちは忍耐力が備わっている。
そうでなければ全員爆睡していたか、どちらかだろう。

できることなら前者であってほしい。



では、また。