ども、全てを観戦できなかった岡田達也です。



どうしても途中で初詣に出かけなければならず……。
致し方ないので4区からはスマホでラジオを聴きながら。
それでも十二分に駅伝の楽しさを堪能できた。

「楽しさを堪能できた」と書きながら
同時に「厳しさも思い知った」レースになった。
昨日の山登りは大変だったようだ。
東京農大5区の津野選手
体調不良だったのか、緊張から来るものなのか
箱根の山登りで足が止まってしまい大変な時間がかかってしまった。
この区間、平均すると1時間20分前後かかるのだけど
彼だけは1時間46分かかってしまった。
いわゆる「アクシデント」だ。

このような事態が起こったとき。
子供の頃の自分は大興奮で観ていた。
「ブレーキです!○○選手、大ブレーキになってしまいました!」
とアナウンサーが絶叫するたび
「これぞドラマだ!これが駅伝だ!」
と一人で満足げに頷いていた。

いや、今でもそう思うのだ。

駅伝で、みんながみんな、完璧な体調で、自己ベストを記録するような走りをする
ということはまずない。
それは大変に難しいことで
それまでのコンディショニングや、当日の体調や、さらには精神的な部分や
何やかんやと細かい条件が多々揃って、
はじめて好タイムが記録される。
逆に言えばアクシデントは起きうる。
何か一つでも欠けてしまうと、足は止まる。
嫌な言い方だが、それは絶対にある。
(駅伝選手を目指してたので間違いない)
だからこそ駅伝は面白いのだ。
そのブレーキになってしまった選手のタイムを、好調な選手がカバーする
もしくは絶好調じゃない選手が、今発揮できる力をフルに発揮して粘りの走りをする
など
総合力の勝負だからこそ見どころが増える。
だからアクシデントも致し方ない。
……と思っていたのだけど。

1996年だったか。
田舎で母親と駅伝を観戦していた。
アクシデントが起きた。
僕の応援している山梨学院大学の中村選手の足が止まったのだ。
エースと呼ばれている彼がフラフラと蛇行し始めた。
上田監督が伴走車から降りて彼にレースをやめさせようとした。
が、中村選手は監督を避けるように一歩一歩前に歩を進める。
箱根駅伝の決まりで監督が触れてしまうと棄権と見なされるのだ。
そうなると来年は予選会から戦わなくてはならない。
自分のせいで、シード権が、失われるのだ。
だから、彼は監督に触れられないように避けながら前に進んでいた。
しかし最終的には監督が無理だと判断し、彼を抱き止めてレースは終わった。
その凄まじいシーンに僕は感動していた。
が。
隣で母親がポツリと言った。
「親御さんはどんな思いで観てるんだろう?」
最初は意味が解らなかった。
「私なら観ていられない」

ああ。
そりゃそうだろうな。
観てられないだろうな。
でもねお母さん、それが勝負なんだよ。

それからも僕は毎年箱根を観る。
アクシデントが起きるたびドキドキと胸を揺らす。
やっぱり興奮してしまう。
だけど。
あのときの母親の声がどうしてもちらつく。
良いも悪いも無い。
やっぱりそれが勝負であって、だから面白いんだと思う。

* * * * *

山梨学院大学、往路6位。
上々だ。
コスマスくんの区間新の走りに助けられた。
復路もシード権を死守する走りに期待したい。



では、また。