ども、足が止まった岡田達也です。




昨日の本番中

楽屋に着替えに戻ると……。


達也汁  ~たつやぢる~

小笠原俊弥

(岩手出身・入団2年目)

彼の鏡前である。


散らかっていることが問題なのではない。

その、畳まれた洋服の上に置かれた一枚の紙切れ。


「お金 おろす」


うん。

わかるよ。

新人のウチはやらなければならない仕事がたくさんある。

山のようにある。

コマネズミのように動き回らなければ追いつかない。

落ち着いて楽屋に座っている暇など無い。

仕事だけならともかく

先輩の無茶振りにも応えなくてはイケナイ。

(オマエは一番お兄さんなんだから止めなさい)

そんな中、絶対に仕事を忘れてはならない。

だから

次にやるべきことを

小さなメモ帳に書き込む子や

自分の手のひらに書き込む子や

携帯に打ち込む子や

みんながそれぞれの方法で忘れないようにしている。

紙切れに書いて置いておく。

いいじゃないか。

立派な方法だ。

間違いなく目に付く。

実際、全く関係ない僕の目にも止まったくらいだ。

だが。

「お金をおろす」

なんてことを忘れるだろうか?

書かなくても良いと思うのは僕だけだろうか?

新人くんたちは

お弁当の代金を支払う役目があるため

ちょっと大き目の金額を預かっている。

(とはいっても僕の一日分の小遣いほどだが)

だけど。

それは忘れなさそうな気がする。

何かを購入しなければならない

というような場合は書いておいた方が賢明だろう。

(僕もよく「あれ?何を買いたいんだっけ?」となる)

しかし、お金は……。

いや。

これでいいのだ。

小笠原には小笠原のやり方がある。

後輩の仕事にチャチャを入れてはイケナイ。

彼のおかげで美味しいお弁当が食べられるのだ。

書け、小笠原!

書いて書いて書きまくれ!

そうすれば確実に仕事をこなせるはずだ。


今度、彼の鏡前にメモを置いておこう。

「達也さんにお金をわたす」と。




では、また。