ども、大阪公演を無事に終えた岡田達也です。
まずは
劇場に足を運んでくださった方、ありがとうございました!
劇場には行けなかったけど応援してたよという方、ありがとうございました!
東京公演で観るよ!という方、お待ちしています!
今回ほど
「無事に終えた」
と書けることを嬉しく思ったことはない。
震災のこと
西川さんのこと
果たしてこの公演が本当に上演可能なんだろうか?
とさえ考えたこともある。
どういうわけか
生きているだけで
困難な局面というのは誰にでも必ずやって来る。
でも
そこで指をくわえて見てるだけでは先に進めるはずもなく。
今回も
劇団の持つ力をありったけ振り絞って
大阪公演が打てた。
個人的にも不安要素が多くて心配な幕開けだったけど
まずはここまでこられたことに安堵している。
今回ほどお客さんに背中を押されたことはない。
本当にありがとうございました。
* * * * *
『元祖 かに寿し』
鳥取の駅弁といえばこれである。
誰がなんと言おうとこれである。
鳥取市民は
自分の母校の校歌を忘れても
このかに寿しを作っているアベ鳥取堂のCMソングを忘れることはない。
100%の確率で歌える。
かく言う僕は
子供の頃はこの駅弁が好きではなかった。
酢飯の酢が効きすぎているように感じてどうも苦手だった。
ところが……。
いつ頃からか
もしかすると鳥取を離れた頃からだろうか
この弁当が食べたくて食べたくてという味覚の変化があった。
そう、大好きになったのだ。
昨日の朝
鳥取から観劇に来てくれる両親からメールがあった。
「何かお土産は必要か?」
いやいや
もちろん来てくれるだけで十分だから手ぶらで結構……
と言いたいところだったが
自分の欲望に負けてしまい
「じゃあ、かに寿しを二つ」
とリクエストしてしまった。
楽屋で開演の準備をしていると携帯が鳴った。
母親からだ。
なんだこんな忙しいときに。
何かトラブルか?
もしかして
久しぶりの遠出の父親が体調不良にでもなったのか?
ドキドキしながら
慌てて携帯電話に出た。
申し訳なさそうな母親の声が聞こえてきた。
「あのな、かに寿しな、バスの座席の棚に置いてたらな……」
もう十分だ。
ここまでの声のトーンとこの言葉で続きは見えた。
親子じゃなくても通じるだろう。
「ああ、いいよ、いいよ、気にしないで」
「さっき、バスを降りたところで気がついたんだけど……」
「もう行っちゃったんでしょ、バス?」
「うん」
「じゃあ、取りに行くなんてしないでね。
それで芝居に間に合わなかったらイヤだから」
「わかった」
たった一つリクエストしたお土産だったが
残念なことに口にすることは叶わなかった。
でも、まあ、
親父が倒れたのでもなく
スリにあったわけでもなく
無事に来てくれたのだから十分。
その後
関西に住む妹(つまり僕の叔母)に連絡を入れて
かに寿しは無事に引き取られ叔父、叔母の夕食なったらしい。
そこのフォローは完璧なのに。
詰めの甘さは母親の売りだ。
観に来てくれてありがとう。
では、また。