ども、初日を観てきた岡田達也です。




11年前

僕は31歳。

そのときの自分は

今の自分を想像していただろうか?

こんなふうに芝居を続けて

劇団と一緒に走り続けている今を。

いや。

そんな先のことを考えて生きていたわけじゃない。

今でもそうだ。

53歳の自分をイメージすることは難しい。


11年という時間は決して短くない。

その時間を「確かに生きていた」という証は

自分以外の第三者の証言によっても証明はされる。

けれど。

自分自身にとっては「記憶」でしか残されていない。


もしも11年分の記憶を失ったら……。

やっぱり

僕はそれを取り戻そうとするだろう。


記憶なんて

塗り替えられたり

美化されたり

時には都合良く忘れ去られたり

とてもあやふやで曖昧なものだったりするけれど

それでも

そんな不確かなものが

その人の財産でもあるし

今の自分を創っている礎でもある。



ネタバレになるからこれ以上は書けないけど

それはそれは格好いい舞台が展開されていた。

(どうか「格好いい」という言葉が軽く取られませんように)

シンプルでいて大きな舞台美術

抽象的でやわらかい照明

キャラメルボックスでは珍しい大胆な映像効果

そして何より

役者の立ち姿が美しかった。

しかも一人残らず。

初舞台の二人でさえ。


「スタイリッシュ」

なんて言葉を安易に使ってしまうと

側だけの陳腐な芝居に思われてしまうのが恐いけど

そんな心配は要らない。

實川貴美子が大内厚雄が多田直人が

そしてゲストの有馬自由さんが

いっぱい身の詰まった言葉を吐き出している。



「この芝居は何色ですか?」

帰り道、有馬さんに一つだけ訊いた。

「うーん……、ピンク色かな」

アルコールが入って上機嫌の彼は答えた。

「どうしてです?」

僕は被せた。

「幾つになっても恋はできる、ってね」

そう言って表情を崩し、照れくさそうに答えてくれた。


ちなみに僕が客席で感じたのは

エメラルドグリーン。


さて、みなさんは?

劇場で確かめてみてください。




では、また。