ども、ちょぴり心配な岡田達也です。





昨日、京王線に乗った。

窓際に立って外を眺めていた。

見覚えのある街に差し掛かった。

ところが

見覚えのあるお店が消えていた。



今から10年以上前

僕は京王線の明大前というところに住んでいた。

駅から歩いて3分ほどのところにある

線路沿いの小さなアパート。

結構長い期間そこに住んでいたので

近所にはたくさんの行きつけのお店があった。


その中の1軒に焼肉屋があった。

ご夫婦でやっている綺麗な綺麗な焼肉屋さん。

お金もなかったので

食べたいときにいつでも

というわけには行かなかったけど

そのお店はランチをやっていて

それならば安上がりで済んだのでよく世話になった。


ランチのメニューの中に「カレー」があった。

焼肉屋でカレー。

ちょっと他では聞いたことがない。

で、頼んでみたら……

これがメチャクチャ美味しかった!

辛くて、野菜が大きいままゴロゴロ入ってて、

何とも言えぬ特徴を持ったカレー。

日本でもインドでもない国籍不明のカレー。

僕は仲の良かったマスターに尋ねた。

「これはマスターのオリジナルですか?」と。


「これはね、うちの母ちゃんが作ってるカレーなんだ。

母ちゃんの国ではこんな感じに仕上がるんだって。

で、初めて食べたときに美味いな!って思ったの。

だから、本当は家庭料理なんだけどお店でも出すことにしちゃった!」


奥さんはフィリピンの人だった。


その奥さんは、ニコニコしながら

それはそれは堪能な日本語で僕に言った。


「岡田さんがいつか結婚して

このお店にお嫁さんを連れてきたら

このカレーのレシピを教えてあげるね」


そう言ってケラケラと笑っていた奥さん。

それは

どういうわけか

忘れられない一言になって僕の中に残ってて。



レシピは要らないから

もう一度、あのカレーが食べたいな……。





では、また。