ども、妙にドキドキした岡田達也です。





下北沢の「劇」小劇場へ

はらぺこペンギン! 『それでも、ボクのアイドル』

http://www.pekopen.net/pekopen/pekopen.html

を観に行く。


「劇」小劇場。

その名の通り小さな小さな劇場で

100人も入ればイッパイになるだろうか。

こういうところで芝居を観るのは良い。

目をこらして舞台を凝視しなくても

普通に観ているだけで空気が動くのがわかる。

役者さんの呼吸が聞こえる。

表情も丸見えだ。

だから好き。


で。

この劇場、大抵の場合

「全席自由」

になっている。

あまり遅めに行って席がないのもイヤなので15分前に到着した。

が。

割と混んでいるではないか。

土曜日の昼間ということもあり7割近くの席が埋まっていた。


劇場スタッフの人に声を掛けられた。

「お一人様ですか?

でしたら、あちらのお席かあちらのお席が空いてます」

指示された2席を見比べてみる。

最初に言われた席の方がより見やすそうだ。

僕は後方真ん中付近のポツンと空いているその席に座った。


座った。

顔を上げて舞台に目をやった。

舞台が見えるはずだった。


が。


僕の視界に飛び込んできたのは

黒い小山だった。

いや。

山ではない。

人だ。

黒い、こんもりとした、人だ。

で、デカイ。

軽く関脇級はある体だ。

縦にも横にもデカイその人は動いているわけではない。

ジッと行儀良く座っている。

しかも客席には段差が設けられていて

同じ高さに座っているわけではないのに。

それでも。

僕に残された視界は

彼の首の横から拝めるわずかな左右のスペースだけだった。


僕は考えた。

「あ、あかん。

この状態で2時間近く耐えられるだろうか?

今のウチに席を替わるか?

でも、この席に座るのも狭い通路を無理に通ってだったし……。

再び出て行くのは勇気がいるよ。

ああ、どうすれば……」

なんて考えているウチに他の席はどんどん埋まっていく。

こういう判断は瞬時に下さなければいけないのに

うだうだ悩んでいるウチに移動は不可能になった。


そうこうしているうちに

僕の後ろの席もいつの間にか埋まっていた。

真後ろから若い女の子の声が聞こえてきた。

「あれ?この席見づらいな~」


ええっ!

ええっ!

オレ?

もしかしてオレが邪魔?

オレも小山?

オレも関脇?

そんなにデカイ?

確かに座高は高いけど幅は人並みだぞ!


もしかして僕のことを言っていたのでは無いのかもしれない。

が、その真意を確かめる術もなく

僕はひたすら小さく小さく

(と言っても限界があるが)

身を丸めて息を殺し

前に座っているお兄さんの首の両横から芝居を観た。


疲れたけど……。

面白かった。

これで芝居がつまらなかったらただの拷問だ。





では、また。





追伸


『バイ・バイ・ブラックバード』

プレビュー公演やるそうですよ。

ちょいとオトクな感じしません?

http://caramelbox-kato.blog.so-net.ne.jp/