ども、働きづめの岡田達也です。






昨日は休演日。


やっほーい!

山に登るか?

海で泳ぐか?

それともプールにするか?

はたまた花火か?


などという幸せな選択肢は僕には用意されてはなく

稽古場にて『さよならノーチラス号』の稽古に励むという日。


おまけにダンスの振り付け日。

膝が笑おうが

腰が痛かろうが

足がパンパンになろうが

我々は狂ったように踊り続ける。

仕方がない。

我々はダンサーではないのだから。

ただただ練習あるのみ。


でも、そのおかげで一筋の光が見えてきた。

きっとカッチョイイダンスシーンになるはずだ。




踊り続けて体中の水分が出て行ってしまったので

鍛治本大樹(元スタバの店員。笑顔がいかにもスタバっぽい)を引き連れてビールを飲むことに。


向かったのは稽古場近くのベトナム料理のお店。

ここの料理は何もかも美味い。

ただ……。

ベトナム料理は往々にしてキュウリが使われている。

僕の大好きな生春巻きにも入っている。

だから食べたくてもついつい敬遠してしまう。

が、昨日はどうしても食べたかったので

思い切って「キュウリ抜きでお願いできますか?」と訪ねたところ快く引き受けてもらえた。

おかげで大満足の生春巻きを味わうことができた。

そんな春巻きを食べながら思い出した出来事が一つ。



1998年。

近江谷太朗、中村恵子、明樹由佳、そして岡田達也の4人でロンドンに行ったときのこと。

ある日ランチを食べるためサンドイッチのお店に入った。

英語がからっきしダメな僕は

周囲のテーブルの人がかぶりついているサンドイッチと

手元にあるメニューを何度も見つつ

何を頼めばどれが出てくるのかを真剣に悩んでいた。


そして

どうやらこいつを頼めば

野菜たっぷりでローストビーフが挟んであるものが出てくるであろう

らしきメニューを判別することができた。

ここまできたらゴールしたも同然だ。

あとは店員さんに

メニューを指さしながら「プリーズ!」と言えばいい。


女性の店員さんがテーブルにやってきた。

みんなが思い思いの品を注文する。


僕はメニューを開き

指を指し

満面の笑みで

「プリーズ!」

と言った。


次の瞬間、優しき先輩の近江谷さんがアドバイスをくれた。


「達也、それ、キュウリが入ってくるんじゃないかな?」


僕のキュウリ嫌いは有名で

キャラメルボックスのメンバーなら誰でも知っている。

先輩は気の利いた助言をくれたのだ。


緊張の瞬間をやり過ごしたはずの僕に

思わぬアクシデントが発生した形になった。


「で、ですよね。

入ってきますよね、キュウリ」


あとで冷静になって考えれば

出てきたサンドイッチからキュウリを抜けば良かっただけのこと。

が、頭がパニックになっている。


「あう、あう、あう」

僕は魚のように口をパクパクさせた。


不思議そうな顔で僕を見つめる店員さん。


「あー、きゅーかんばー、きゅうーかんばー……

のー きゅーかんばー!」


「?」

まだ通じていないらしい。


「きゅーかんばー、きゅーかんばー……」


「Oh! cucumber?」

おお!キュウリは通じたぞ!


「いえす、いえす、いえす!

きゅーかんばー のー!

のー きゅーかんばー!」


書き直す必要はないだろうが

僕はこう言ったつもりだったのだ。


「cucumber No!

No cucumber!」


しかも身振り手振りを交えて

サンドイッチの中からキュウリを取り出すパフォーマンスを演じて見せた上での話だ。

腐っても俳優である。

通じていないはずがない。


彼女はやっと理解してくれた様子で

「OK!」

と指で丸を作り

おまけに僕に向かってウィンクまでしてくれて席を離れていった。


待つこと10分。


サンドイッチが運ばれてきた。

彼女は僕に「どうだ?」と言わんばかりの表情でサンドイッチを差し出した。

受け取った僕はそーっとパンの片側を外して中身を見た。


……。


僕は固まったまま動けなくなった。

キュウリが山盛りで入っていたのだ。



考えられるのはただ一つ。


「No cucumber!」


ではなく


「More cucumber!」


と聞こえてしまったのではないか。


しかし

あり得るか?


no と more が聞き間違えられるって?


それほど僕の発音はいけてなかったのか?




早くキュウリが食べられる大人になりたい。






では、また。





『さよならノーチラス号』 音声ブログ

http://www.voiceblog.jp/caramel-voice/m200908.html


ゲストの森下くんの登場です。