ども、やっちまった岡田達也です。






昨日、稽古前に会議が一本入っていた。

「お前は俳優だろ。何故会議に出るのだ?」

なんて思う事なかれ。

劇団というのはそういうものなのだ。


で、それに出席すべく家を出てバスに乗った。

キャラメルボックスの稽古場は

バス停でいえば「杉山公園」という停留所で降りればすぐそこにある。


バスに乗り込み窓の外を見た。

今にも雨が降り出しそうだ。

午後からは確実に降るという。

おやおや、道路もかなり混んでいるようだ。

なかなか前に進まない。

スパゲッティの五右衛門が見える。

最近食べてないなー。

フムン。

時間も勿体ないし、今朝覚えたセリフを反復するか。

周りに聞こえない声量で呟き始めた。


ブツブツブツ……。


あ、間違えた。


ブツブツブツ……。


あれ?ここは何て言うんだっけ?


ブツブツブツ……。


ピンポーン!(というチャイムの音)


ああ、この言葉で正解なんだ。


にしても。

面白いな、このバス。

正しいセリフを喋るとピンポンって鳴らしてくれるんだ。


「次は十貫坂上、十貫坂上」


あれ?

おや?


!!!!!!!!!!!!!!


ちがーう!

さっきのピンポーンはお知らせの合図だよ!

そらそうさ!

お前のセリフのためにチャイムが鳴るわけ無いだろ!

いやいや、それ以前に「杉山公園」を過ぎてるじゃないか!


「あのー、スミマセン!

運転手さん、降りたいんですけど!」


若い、マスクを付けた運転手さんは僕を一瞥し指で乗車口を指した。

そこから降りろということらしい。

背中からは

「困るんだよねー、お客さん」

というオーラが目一杯噴射されている。

僕は平身低頭バリアーを身に纏い逃げるようにしてバスを降りた。


電車の乗り過ごしは2度ほど経験がある。

バスは生まれて初めてだ。

ショックだった。


みなさん、バスの中でセリフを返さない方がイイですよ。






では、また。