ども、恐怖体験をしてきた岡田達也です。






といっても心霊現象ではない。

またまた歯医者の話。


ここのところ何を狂ったか

悪いところを全て直そう!

という暴挙(?)に出ている。

歯医者に通院するなんてのは半ば自殺行為のようなものなので

よい子にして通っている自分が不思議だ。


この商売をやっていると

「口の中をいじられる」

というのは口蓋に関する問題になるのでちょっと大変なのだ。

つまり、

口の中の状況が変わるということは話し方に影響する

ということでもある。

だから、本番中には歯医者には行かない。

これ俳優さんの鉄則だったりする。

今回も本番中といえば本番中だが

東京公演まで時間があるので思い切ってみた。


で、昨日やった作業が

「歯を切る」。


「歯を抜く」ではない。

「歯を切る」のだ。


おおっ!

恐ろしい!

実に恐ろしい!

何だ、歯を切るって?

いや読んで字の如くだけど。


そういえば、僕の親知らず(下)は2本とも埋まっていて

無理矢理引っ張り出したんだった。

その時の方が凄まじさでは上だったかもしれない。

左下は歯茎を切るだけで出てきたけど

右下のヤツはさらに歯を4ツに割ってから抜いたんだった。

アレに比べれば昨日のは大したこと無いかもしれない。


で。

最近の医学は実に進歩していて

ほとんど痛みを感じることなく作業は終わる。

スゴイと思う。

本当にスゴイと思う。

でも、人間というのは記憶と感情によって左右される生き物なので

勝手に恐怖を感じてしまうのだ。

つまり、麻酔を打たれてから治療するまでの時間が一番恐怖を感じてしまう。

自分自身で。

勝手な痛みを想像して。

ところが始まってしまえば

「あれ?痛くないな。

麻酔が効いているとはいえ、こんなものか。

どれ。

歯医者さんがやりやすいように大きく口を開けてみるか」

などと余裕すら出てくる。

さっきまで震える小鳥状態だったくせに。


そんな中、隣で治療していたおば様の声が聞こえてきた。


「え?先生、そ、それは、しゅ、手術ってことですか?」

(明らかに動揺している)


「ええ、まあ、手術と言えば手術になりますけど……」

(“そんな大袈裟なものではないですよ”というニュアンスがたっぷりだ)


「いやー!私、歯の手術なんて想像しただけで死んでしまいますわ!」

(んな大袈裟な。でも気持ちは分かるな)


「でも、このまま放っておくと大変なことになりますよ」

(おっと、作戦変更だ。脅しにかかった)


「3ヶ月に一度は通いますから。それではダメですか」

(そういう問題じゃないだろう)


「ええ、それで済むなら苦労はしません」

(そうだよなー)


「しばらく考えさせてください」

(ガンバレ、おば様!)


そんな会話だった。


気持ちは分かる。

痛いほど分かる。

でもね、こんな恐がりの自分も頑張ったんだ。

あんたにもできる!

と、心の中で勝手にエールを送った。


この日記を読んでる方の中にも歯医者を躊躇している人が多いのではなかろうか。

余計なお世話だが、行ってしまえ。

あんたならやれる!

通えるはずだ!

岡田達也が通っているのだ!

踏み出すなら今だ!


と、エールを送ろう。



……何を書いているのだ、自分。

そんなに通っている自分が偉いのか?

いや、きっと、それを書きたくなるほどドキドキしたってことだな、多分。




では、また。