ども、お餅三昧の岡田達也です。






普通の餅、かき餅、豆餅。

鳥取から持ち帰った餅が冷凍庫の中を占拠している。

食べても食べても餅が減らない。

ある意味幸せだが、ある意味不幸だ。


餅は太る。


と言われている。

多分、事実だ。

お餅一つで茶碗一杯分のご飯に相当するという。

お餅を食べるときは最低3個を食べてしまう僕は

いつも茶碗3杯分のご飯を食べているということになる。


ああ、哀しみの脇腹よ。

お願いだからこれ以上つきたての餅のようにダラッと流れていかないでくれ。


ま、我慢すればいいだけの話だが。





帰省時、その美味い餅を作りながら親父に言われた。

「ちょっと、これ、わかるかいな?」


手渡されたのは毎日新聞だった。

週に1回掲載されているクロスワードパズルにはまっているらしい。

7割方書かれているのだけどまだ空白がある。

残りの問題は8個。

確かに難しい。

うんうん唸りながら1時間近くかかってやっと完成した。


親父は嬉しかったようだ。

「おお!完成したな。ありがとうな」


僕は気軽に答えてしまった。

「うん。まあ、わからなかったら何でも訊いてよ」



東京に戻ってきた。


ある日、仕事をしていると電話が鳴った。

着信を見ると親父からだった。

生まれてこの方、親父から電話がかかってきたことは1度だけだ。

その1度は借金の申し込みだった。

そんな苦い経験を持つ僕はドキッとした。

ま、まさか……。


電話に出た。


「あー、俺だけど。

『お刺身が切られてない状態』

2文字だな。

これなんだ?」


「……」


拍子抜けとはこのことで

最初、僕は何を問われているのかも理解できなかった。

そもそも、前置きがなさ過ぎる。

電話に出た瞬間に設問を読み上げている。

もう少し気を使えないものか。

言いたいのを堪えて返事する。


「たぶん『さく』だと思うけど」


「おお!ありがとうな」


電話は切られそうになった。

僕は大声で止めた。


「あ、ちょっとちょっと。

あのな、できればメールでもらえると嬉しいな。

ほら、仕事中にこんな電話もらっても、ね」


「おう、そうかそうか、そうだなそうだな」


電話は切れた。




昨日、親父からメールが届いた。


タイトル  


クロスワード


本文


着衣と裸の2種類のマハの絵で知られるスペインの宮廷画家。

カタカナ二文字。



打たれていた文字はそれだけだった。






では、また。