ども、唇が乾き始めた岡田達也です。





このヒンヤリした空気。

そうか、10月も終わるのか。

冬に向かってるって感じがする。




喜志駅に着いた。
390円の切符を握りしめて着いたのだ。
どうやら芸大生らしき若者たちがぞろぞろとホームに降りる。
ギターを抱えた金髪のあんちゃん
バイオリンケースを持ったお嬢ちゃん
製図が入っているであろう筒状の入れ物をもったメガネくん……。
この雑多な感じ。
間違いなく芸大生たちだ。
その流れに身を任せて歩を進めてみた。


ん。
大丈夫だ。
浮いてはいない。
何の違和感もない。
岡田達也も芸大生で通るだろう。


……。

まてまて。

その方が問題があるのではないか?
こんな若造たちと比べて何ら変わりがないというのは如何なものか?
だって倍近く生きてるんだし。
もっと、こう、人生の先輩らしく
つーか、芸大OBとして
つーか、そもそも人間としての貫禄っぽいものが欲しいというか。


なんだか哀しくなってきた。

いやいや。
そんな図々しいことを考えているのは自分だけで
周りから見たら
「なんだこのオッサン?」
みたいなことになってるのかもしれないし。
ここはスルーしておこう。


駅前に出る。

おや?
おかしい。

学生たちはどんどん歩いていく。
確か昔は駅の真ん前がバスターミナルになっていて

そこから金剛バスという会社が芸大直通のスクールバスを送迎していたはずだ。
それが見当たらない。

ライトグリーンとオリーブ色とビリジアンを足したような金剛バスはいる。

が、これはどうやら路線バスのようだ。
芸バス(我々はこう呼んでいた)が見当たらない。
不安になりながらも学生の列に付いていく。
歩くこと1分。


おおっ!
何ということだ!
芸バス専用の発着場が出来ているではないか!
しかも3台くらいは止められるスペースがある!
無駄に広いぞ!
地上げに成功したのか?
いやいや。
塚本学院が金にものを言わせて買い取ったのか?
どちらにしろ屋根付きの立派な停留所だ。
いやー、便利になったんだなー。
と、実感しているところにバスがやってきた。

あれ?
バスのボディがカラフルだ……。
こ、これは。

金剛バスじゃない!









では、また。