ども、二つ目の声を持っていた岡田達也です。


(何のことやらわからない方、ゴメンナサイ。

しかも今日の日記はネタバレ有りです。

嫌な方はご遠慮ください)






昔々、その昔。


聖蹟桜ヶ丘アウラホールでガレージセールなるものを開催した。

その準備に追われながら、必要な備品を京王ストアに買いに行った。

1階の総菜売り場を通りかかると

実に美味そうなニラ饅頭を実演販売していた。

ニラ饅頭に目がない僕は立ち止まった。


「4個 400円」


と書いてあった。

つまり1個100円だ。

そう思った。

思ってしまった。

だって、単純計算でいけばあってるはずだ。

僕はおばちゃんに声を掛けた。


「すいませーん。ニラ饅頭を1個ください」


すると、ニラ饅頭を焼いていたおばちゃんの手がピタリと止まった。

ついでに顔色も曇り始めた。

あれ?

僕は何かをやらかしてしまったのか?

でも、注文しただけだぞ。


「お兄ちゃん、悪いけど4個からしか売ってないのよ」


ガーン!

そうなの?

バラ売りしないの?

ニラ饅頭に目がない僕は落ち込んだ。


「そうですか……。どうもスイマセンでした……」


僕はそう口にした。

そう言っただけだった。


だが。

その場を去ろうとする僕におばちゃんの声が刺さった。


「ああ、もういいよ。お兄ちゃん、一つ持っていきな!」


なんと!

おばちゃんはバラ売りしてくれるどころかタダでくれるという。


「え!? いいんですか? じゃ、遠慮無く」


僕はおばちゃんが差し出してくれた焼きたてのニラ饅頭を受け取り

ルンルン気分でアウラホールに戻っていった。



おそらく僕は無意識のうちに二つ目の声を使っていたのだ。


表 「そうですか……。どうもスイマセンでした……」

裏 「ああ、いいな、いいな、ニラ饅頭。1個でいいから食べたいな」



『嵐になるまで待って』という作品がある。


僕はこの作品で2回ほど波多野という役をやった。

この人物は「二つ目の声」という特殊な能力がある設定だ。

演じているうちに、いつの間にか自分にも身についていたということだろう。

ああ、おそろしや……。



長い長い冗談はさておき。





昨日、『嵐になるまで待って』の通し稽古を観てきた。


面白かった。


これが2度目の通し稽古なのか?


どれだけ充実しとるねん。

どれだけ落ち着いとるねん。


なんでこんなに面白いねん。



稽古終わりで、突然のどしゃ降りになった天候の中

大勢で近所のやきとり屋に行った。


僕には無くなってしまった「二つ目の声」を

新たに身につけた男、細見大輔と話した。


なるほど

劇団の歴史を支えている人間たちというのは

何をしなければならないのか

がわかっていて

何を壊さなければならないのか

がわかっていて

何を超えなければならないのか

がわかっている

ということなんだと実感した。



僕が死守して欲しいと密かに願っていた5曲が

そのまま使われていたことにも感動し、

久しぶりに一緒に飲んだ選曲五郎も褒めておいた。


それと

僕が死守して欲しいと密かに願っていた

西川浩幸のギャグが3つ残っていたことにも感動し、

久しぶりに一緒に飲んだ西川さんに……

アカン、褒めるの忘れてた。



いいですよ、『嵐になるまで待って』。


面白いです。


新生キャラメルボックスを

新生サンシャイン劇場で観てください。



お待ちしています。






二つ目の声を持つ男と

二つ目の声を持っていた男。







では、また。