国会におけるスピード採決を経て、インフルエンザ特別措置法改正案が成立しました。
本来であれば、この法律は今回の改正を必要とせず、新感染症として新型コロナウィルスに適用できたはずで、そうであれば安倍総理が行った学校休校をはじめとする様々な「要請」が法律の根拠に基づいて適正な手続きを踏んで行われたはずです。落ち着いたところで、しっかりと検証すべきです。

今回事態の重要かつ緊急性から野党としても迅速な採決には協力してきました。特に強い人権制限ともなり得る緊急事態について、与野党合意の付帯決議で国会に事前に報告をする原則が明記され、大臣からもそのように運用するとの答弁がありました。事前報告の際に国会で議論することで事前承認に近い効果が確保され、政府の緊急事態宣言に際し国会の監視機能を、より果たすことができると思います。

ただし、非常に気になる答弁がありました。国民民主党の後藤祐一議員の「2年もの間、緊急事態宣言を続ける可能性があるということなんですか」という問いに対し西村担当大臣は「2年とは今のところ考えておらず、1年ということを考えている」と答弁しているのです。緊急事態宣言は慎重に検討するといいながら、つい本音がでたということでしょうか。

緊急事態宣言下においては、外出制限、施設の使用や催物開催の制限、通信の制限なども可能となるため、政治活動や報道の自由を制約することも可能です。1年間もの緊急事態宣言はあり得ないと思います。今後与野党協議の中で少なくとも最初は3〜6カ月、その後必要に応じて延長するということにすべきです。

そもそも1年間もの宣言を行うということは、その間国民の生命・健康に著しく重大な被害を与える恐れがある状況が全国的かつ急速なまん延状態にあることを政府が認めることとなり、今夏のオリンピックどころか一年延期すら不可能になりかねないと思います。