国と同様、地方自治体の財政も大変な状況です。三重県も例外ではありません。そういう中、三重県では、3年前の伊勢志摩サミットに続き、2021年に国体の開催を予定しています。これに対して、117億円程度の費用支援が必要になることが、県議会における県からの説明で明らかになりました。

しかし、2025年に団塊の世代がすべて75歳を超え、そのための医療や介護の支出が大きく増えるという、いわゆる「2025年問題」は、国だけでなく、地方自治体にとっても財政悪化の大きな要因となることが分かっているのですから、すべての歳出についてしっかり見直すことが求められています。

国体の開催はすでに決まっていることですし、その運用のために一定の費用が必要となることは理解できます。しかし、例えば三重県が開催県だからといって、県選手の強化策として、本当に17億円も必要なのでしょうか。その中には、1位(天皇杯)を目指すための、他県の有力選手を引き抜いてくることの費用も含まれているとすると、その費用分については、私には税金の無駄使いとしか思えません。

そもそも、開催県だからといって、いわばゲタをはかせて1位を目指す必要があるのでしょうか。実力どおりの順位で(福井国体では20位)、何が問題なのか私には理解できないのです。

過去にも、2002年の高知県(橋本大二郎知事)が特別の対策を講じなかった結果、順位が振るわなかった例があります。しかし私には、むしろそのほうがまともな考え方のように思えてなりません。国体に対する国民の関心が薄れていることが指摘されていますが、その理由の1つに、開催県が優勝するのが当然であり、そのために無理をするという悪弊があるのではないでしょうか。改革を期待したいものです。