予算委員会で安倍総理と35分間議論しました。例によって、まともな答弁はほとんどなかったのですが、私の主張を中心に説明します。

まず私が取り上げたのは、安倍総理が内閣の最大のチャレンジとする全世代型社会保障への改革です。具体的には、65歳を超えても働けるような雇用制度の改革、糖尿病や認知症の予防の検討などを唱えています。

私の指摘は、総理の提案は是としつつ、しかし、それだけでは不十分で、改革の本丸は給付と負担の見直しだということ。2022年以降、75歳以上の高齢者が4年間で300万人増え、医療費・介護費が飛躍的に増える一方で、所得税や社会保険料の担い手の中核である20〜64歳人口が、今後25年間で1600万人減るという現実から目をそらすことなく、社会保障制度を持続可能とするための給付と負担の見直しのための改革を急がなければならないと主張しました。

特に年金について、このままでは年金の実質額が将来大きく目減りする可能性が高く、低額年金者をどう守るか、財源を含めて具体的に検討すべきだと指摘しました。

いずれも安倍総理からはゼロ回答でした。給付と負担の見直しというのは、医療や介護の給付の中で、より必要性の高いものに重点化すること、消費税10%実現以降のさらなる負担の検討を始めるということですが、この点について言及はありませんでした。年金についても、70歳を超えても受け取りを先送りできる制度に言及するのみで、社会保障制度を持続可能性とするための改革は、安倍政権では期待できそうもありません。

次に、財政健全化について、安倍総理は、消費税の使途を拡大したことで、2020年度プライマリーバランス黒字化が困難となったと国会で何度も答弁していますが、これは正確ではない。ほとんどは改革努力の不足によるもので、安倍総理の答弁はフェイクだと主張しました。

その上で、新たに設けた2025年度プライマリーバランス黒字化も実現不可能となる可能性が高いことを指摘。社会保障制度における負担と給付の見直しに加えて、安倍政権下で大幅に増やしてきた防衛費や公共事業費における選択と集中が必要だと強調しました。

そして、2022年以降の社会保障費の増大、金利の上昇という「時限爆弾」があるなか、安倍総理の任期中に財政健全化にもっと真剣に取り組む必要があることを強調しました。

時間も限られるなかで、外交については、北方領土問題について、2年前に山口・長門で合意した安倍総理の「新しいアプローチ」は行き詰まっている。この間、ロシアは北方四島に対して大型の投資を行い、外国企業を誘致し、軍事力も強化している。ここは領土問題を先送りせず、正面から交渉すべきだと指摘しました。

安倍総理と予算委員会で議論するのは2年半ぶりだったのですが、質問したことに正面から答弁することはなく、十分な時間をかけて準備したのに、徒労感の残るやり取りでした。ただし、安倍総理が重要な問題を先送りし、誤魔化していることは、聞いていた皆さんにご理解いただけたのではないかと思っています。

◎予算委員会パネルはコチラ
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◎準備が整い次第、衆議院TV「ビデオライブラリ」で、録画をご覧になれます。
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