財務省の森友学園問題の公文書改ざんなどについての、調査結果が公表されました。

すでに報じられているように、極めて不十分であり、とても事実が明らかになったとは言えない代物です。

特に、すべてが佐川前理財局長と理財局の主導で行われたとして、財務省全体の組織的な関与や、あるいは官邸との関係、総理や総理夫人との関係についての言及がないままの報告です。かつ、国有地売却の不透明な値引き理由の究明もありません。

これで一件落着ということにはならないと、多くの国民の皆さんは思っていると思います。国会もあれだけの偽りの答弁がなされた以上、徹底的に事実関係を明らかにする責任があります。

さて、この調査結果と並んで、関係者の処分が公表されました。私が思わず苦笑してしまったのが、麻生財務大臣が閣僚給与1年分を自主返納するというものです。閣僚給与というのは、国会議員としての歳費に上乗せして払われるもので、1年分とはいえ、金額的には170万円で、全く大した額ではありません。本来辞任すべき麻生財務大臣が、これで責任を果たしたという説明になると思っているとすれば、勘違いも甚だしいと思います。

財務省は、今回の一連の事件によって、国民の信頼を失いました。その立て直しは、容易なことではないと思います。

私は以前から、佐川さんの答弁は、組織を守ることはあっても、国民の信頼を全く失うものだと指摘をしてきました。しかし、国民の信頼だけではなく、財務省という組織そのものを、大きく毀損することになってしまいました。

財務省は、地方の財務局や国税局がしっかりと機能して成り立っています。今回、近畿財務局の中に、公文書の決裁文書の改ざんについて慎重論もある中で、本省がこれを押し切る形で改ざんしたとすると、このことによってできた本省と地方部局との深い溝は、簡単には修復されないでしょう。

霞が関の最有力官庁として、例えば、財政健全化の旗を振れるのは財務省しかありません。財務省が深手を負ったことで、財政健全化が全く進まないことになるのではないかと強く懸念されます。本当のことを洗いざらい出したうえで、財務省という組織の再生をしっかり図ってもらいたいと思います。