安倍総理は「行政の長として、その責任を痛感している。国民の皆様に深くお詫び申し上げる」と自民党大会で発言しました。あくまで行政に問題あり、その長としての責任があるとするもので、行政(=財務省)に実質的な責任を負わせるものです。問題をことさらに矮小化するもので、違和感を覚えます。

確かに、財務省の公文書改ざんや、佐川氏(前理財局長)の事実に反する国会答弁は大きな問題です。しかし、なぜそうなったのか、そこに大きな力が働いたのではないかというのが、この問題の本質です。

私の常識では、重要な国会答弁作成にあたり、官邸は当然に関与します。そうでないと、総理答弁と財務大臣、理財局長答弁にズレが生じ、それだけで国会は紛糾する可能性があるからです。具体的には、この案件では、総理答弁の原案も財務省が作成し、官邸と調整しているはずです。国会答弁の調整にあたるのは、通常、総理秘書官ですが、政治的に重要な案件は、政務の官房副長官、場合によっては官房長官、総理自身の判断をあおぐこともあります。

本件は、安倍総理夫人が名誉校長を務めるなど、深く関わり合っていた案件です。国有地の払い下げ方法自体も、特例的な手続きが取られていました。政務レベルが関与して、官邸と財務省の間で、国会答弁を綿密に調整していないはずはないと、私は確信しています。

安倍総理は、事実に反する佐川氏の答弁や、そもそもの国有地払い下げ問題について、官邸や政治家の関与がどうだったのか、徹底的に調査し、明らかにしなければなりません。

国会の役割も極めて重要です。事実に反する答弁と公文書改ざんは、議会制民主主義の根幹が揺らぐような事態です。野党は一致団結して、取り組まなければなりませんし、民進党の果たすべき役割も大きいものです。佐川氏の証人喚問はその第一歩です。霞が関に対する国民の信頼を取り戻すために、是非、正直に話してもらいたいと願っています。