通常国会が、延長することなく終わりました。本当にひどい国会だったと思います。

安倍総理は国会閉会後の記者会見で、「建設的議論という言葉からは大きく懸け離れた批判の応酬に終始してしまった。国民の皆様に大変申し訳なく感じております」、あるいは、「深く反省しております」と言われました。

しかし、私から見て、共謀罪について議論した法務委員会などは、まさしく政策論が中心だったと思います。一般市民に適用される可能性はないのか、「組織的犯罪集団」の定義は何なのか、といった基本的な質問についても、金田大臣は答えられませんでした。

人権を侵害する可能性がある法案だからこそ、しっかりとした答弁を求めたのですが、残念ながら、有意義な議論にならなかった。その責任は、政府側にあるという認識に欠けていると思います。

また、安倍総理は、国家戦略特区をめぐる文部科学省の文書について、「二転三転した形となり、長い時間が掛かることになったが、政府への不信を招いたことは、率直に認めなければならない」とし、「何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく」と明言されました。

しかし、まず、文書の存在を否定した最初のいい加減な調査結果に対して、前事務次官だけではなく、文科省の中からも「文書は存在した」という声が上がり、取り繕うことができなくなって、慌てて再調査し、事実を認めたというのが現実ではないでしょうか。

そして、文科省と内閣府で見解が異なっていることが明確になりました。本当に説明責任を果たしていくというのであれば、もう一度、内閣府で調査を行うことこそが、説明責任を果たすことになるはずです。口では責任を果たすと言いながら、現実には、国会を閉じ、証人喚問も行わず、予算委員会の集中審議も行わず、時間が経てば国民は忘れると思っているとしか思えない。非常に残念なことです。

国会は閉会中ですが、今後、森友問題、加計問題、そして共謀罪について、しっかりと問題を指摘し、引き続き事実を明らかにする努力を続けなければならない、改めてそう感じています。

なお、安倍総理は、「今国会では、60本以上の法案が成立した」と述べられました。正確に言いますと、この国会で成立した法案は67本。そして、その中の78%にあたる58本は、熟議の上、民進党も賛成し、成立しています。

成立した法案の中には、天皇陛下の退位に関する法律もあります。まさしくこれは、国会の中で、衆参議長・副議長が中心になって、与野党の枠を超えて成し遂げられたもので、国会の歴史に残る偉業だと思います。

そういう意味では、この国会は、様々な問題について政府が説明責任を果たさず、解決されないまま残された、ひどい国会だっただけではなく、やるべきことはかなりなされた。その中において、民進党の役割は大きかったということを、ぜひ皆さんにもご理解いただきたいと思います。