臨時国会が始まりました。昨日は、安倍内閣総理大臣の所信表明演説が行われました。今日からは代表質問、そして予算委員会での質疑と、66日間の国会が始まります。

総理の所信表明演説を聴いて、2つ、おやっと思ったことがあります。

1つは日露関係について、「領土問題を解決し、戦後71年を経ても平和条約がない異常な状態に終止符を打ち、経済、エネルギーなど日露協力の大きな可能性を開花させる」と言われたことです。

「平和条約がない異常な状態に終止符を打つ」ということを断言されたことは、近い将来、平和条約を結ぶと約束したに等しい言い方だと思います。

言うまでもなく、平和条約を締結するためには、領土問題に答えが出なければなりません。領土問題に答えがないまま、平和条約を締結するということは考えられません。

どのようにして、この領土問題に決着を付けていこうとするのか。このように断言されたということは、12月の日露首脳会談で大きな前進があることを期待させますが、果たして、両国が一定の合意に達するような下地があるのかどうか。非常に気になるところです。楽観できるような話ではないと、私は思っています。

今1つは、天皇陛下のおことばの件について、演説の最後に述べられました。「天皇陛下が、国民に向けておことばを発せられました。天皇陛下のご公務のあり方について」、「有識者会議において国民的な理解のもとに議論を深めていく考えであります」と言われたわけです。

陛下が言われたのは、「ご公務のあり方」についてではなく、「生前退位の必要性」についてのおことばでした。それを、天皇陛下の「ご公務のあり方」についてと総理が言い換えたのは、私には釈然としないわけです。

有識者会議にどういう役割を期待するのか。ご公務のあり方についての議論ということでは、陛下のおことばとは、かなりかけ離れたものになってしまいます。

有識者会議にどういった役割をお願いすることになるのか。これは大変大事なポイントだと、安倍総理の演説を聴いていて思いました。

いずれにしても国会が始まりました。大いに議論をする、総理も聞かれたことには正面から答える。そして、月に1回は党首討論に応じる。そういう姿勢をしっかりと見せてもらいたいものだと思います。有意義な国会になることを期待したいと思います。