米欧のイランへの制裁が解除されました。私が外務大臣の時に、この問題にずっと関わってきました。

イランの核開発は、もちろん、ただちにストップされるべきです。アメリカ大使館占拠事件など、両国間にはいろいろな経緯もあります。

しかし、アメリカももう少し和解のために努力すべきではないか、あまりにも頑なすぎないかと思ってきました。今回の核開発をやめるという合意と、その結果としての制裁解除を大変うれしく思っています。

イランという国は、私も10数年前に訪ねた経験があります。かつてのペルシャですから、古い文明を持つ誇り高き人々です。人口も多く、中東の中で、大きな存在感を持つ国でもあります。少数派であるシーア派の盟主という位置づけもあります。

イランという国が国際社会に復帰をすることで、当面さまざまな問題が発生するでしょう。サウジアラビアとイランが、早速、緊張関係にあること、あるいはイスラエルにとって、イランが最大の脅威という問題もあります。

イランは、宗教指導者が政治のトップにある国で、ここばかりが指摘されますが、同時にそのもとにある大統領は国民の選挙で選ばれているわけです。つまり、部分的ですが、民主的な政治というものが伝統としてあり、現在も機能しているということです。

これからのイランが、どのような役割を中東の中で、世界の中で果たしていくのかということに、世界は注目しています。私は経済力をつけたイランが、地域の安定のために力を発揮することを期待したいと思います。