安保特別委員会─80分の質疑、党首討論に続き新たな問題を提起

今日の特別委員会で、安倍総理と議論しました。80分という非常に長い時間でしたので、しっかりとした議論をしたいと思いましたが、なかなか議論が噛み合わなかったことは非常に残念に思っています。

まず、総理が盛んに言われる「巻き込まれ論」。巻き込まれ論とは、日米安保条約を結んだことによって、アメリカの戦争に日本が巻き込まれるという批判が当時ありました。このことについて私は、総理が「これは間違いだ」とか「的外れだ」と言っていることについて、現在でも「巻き込まれ論」というのは一定程度あるということを申し上げました。

具体例として、事前協議制度の例を挙げました。例えば、爆撃機が日本にある在日米軍基地から直接紛争地に行って、爆弾を落として返ってくる「直接出撃行動」。これは今の安保条約上、日本国と事前に協議しないといけないということになっています。

もし、総理がそういう事前協議を受けたときには、これはやはり、その必要性、他方で日本が報復を受ける可能性がとそのリスク、これが「巻き込まれ論」ですが、そこを勘案してどうするか最終判断しなければいけない。

日米同盟の抑止力について、私自身も高く評価していますが、しかし、他方でリスクも考えて、政治家は、国家の指導者は物事を決めていかなければならないと申し上げましたが、残念ながら、なかなか総理とは議論が噛み合いませんでした。

総理は二項対立的に、55年体制の影響かもしれませんが、非常に強い言葉で相手の意見を否定する。しかし、もう少し懐深く考えていかないと、安全保障の議論というのは豊かにならないと私は思っています。

その他、相手国の領土・領海・領空での集団的自衛権の行使について、総理は「海外派兵は禁止されているという考え方がある以上、そういうことは基本的にはない」と言われました。

私が申し上げたのは、海外派兵が認められていないという従来の考え方は、これは個別的自衛権についての考え方であって、集団的自衛権の行使を政府の言うように認めてしまうと、その戦場というのは、日本の領土・領海・領空ではなく、公海、そして場合によっては米軍の戦っている相手国の領土・領海・領空であるということも当然ある。

したがって、新3要件に該当するということで自衛隊を送って、相手国の領土・領海・領空で自衛隊の武力行使をするということは、集団的自衛権を認めてしまう以上、そういうことはあり得る。

つまり、海外派兵は認めないという従来の考え方は維持できないのではないかと申し上げました。

したがって私は、「海外派兵を認めないという考え方が極めて重要だ」と総理が言っておられる以上、結局、集団的自衛権の行使というのは事実上認められないということにならざるを得ないと思っているわけです。

このところを法制局長官も交えていろいろ議論しましたが、もう一度文章できちんと整理したうえで議論していきたい。

総理の言われるように「海外、相手国の領土・領海・領空で武力行使することは原則ない」と言うなら、これは法律にそのことをしっかり書いていただく必要があると思っています。

ホルムズ海峡や、敵地攻撃ということで、例外がもうすでに2つ出てきましたが、そういう例外がさらに広がっていく可能性が非常に大です。

その他、リスクの話、新3要件の第1要件の問題なども議論しました。

おやっと思ったのは、集団的自衛権を行使する前の段階の武力行使。例えば、アメリカがある国と戦闘状態になっている。それがアメリカの先制攻撃をきっかけにして武力行使の状態になっていて、それに対して日本が集団的自衛権の行使ができるのかということに関して、岸田外務大臣は「先制攻撃は国連憲章上認められてないので、そういった先制攻撃をした米軍に対して、日本が集団的自衛権を行使するということは考えられない」と言われました。

私は答弁としては非常にクリアだし、思い切ったことを言われたと思いますが、果たして政府の中で、それを維持できるのかと思います。この点についても、これからさらに議論をしっかりと詰めていきたいと思います。総理と外務大臣の間で、答弁の齟齬があるのではないかと思っています。

いずれにしても、今日から議論が始まりました。いろんな問題点をまた提起したつもりです。前回の党首討論で私が提起したリスクの問題と、そして第三国の領土・領海・領空における武力行使の話は、今2つの大きな争点になっています。

今日その争点をいくつか増やしましたので、そういったことも含めて、しっかりと民主党一丸となって頑張っていきたいと思います。

詳細はこちら(民主党HP)⇒http://www.dpj.or.jp/article/106778/
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