いままでもいろいろな改革が議論されてきましたが、結局は根本的な解決にはならなかった。そして、中期的に見れば、地価は下がる、住宅も次第に古くなって下がっていく。そういうなかで、膨大な土地と住宅を抱えたURが、きちんと事業を継続するためにどうしたらいいかということについて、議論してきたわけです。

答えの1つはスリム化。資産を売却し、借入金を減らしていくということを、いかにいままでと比べて早いテンポで進めていくか。そのために我々が考えたのが、高額物件については別会社にし、民間的手法で株式会社として運営し、付加価値を高め、より利益を上げる。

そして、その上がった利益をUR本体に還元して借金を減らしていく、というものです。いままでのURの運営ではできなかったことが、株式会社にすることによってできると。

例えば、従来の道路公団時代のサービスエリアと、いまの株式会社となった後のサービスエリアの違いというのを考えていただければ、民間の活力を利用するということが、どれだけ効果があるかということがご理解いただけると思います。

そして、そういう形で高額の住宅について、収益が十分上がるようになれば、その会社を、例えば売却する、あるいは上場する。そして、いままでのJRやNTTと同じように、株式売却益を国に入れて、URの借入金を減らすことにつなげていくと。こういった道筋が描けるのではないかということで議論をし、今回結論に至ったものです。

具体的に、株式会社化する部分をどのぐらいの規模にするのかということなど、若干の議論を残しています。

そして何よりも、所得が少ない、あるいは高齢者の方々で、いま現に住んでおられる方の状況というのはしっかり守らなければならない。

そもそも、我々のスタートは、13兆円の借金のなかで、URはこのままでは結局先々立ち行かなくなってしまう。税金を入れるか、あるいは、いま住んでおられる方々に大変なご迷惑をかけることになりかねない。それが議論のスタートだったわけですから、所得の少ない方や高齢者の方の状況というものをしっかりと守りながら、URの経営が健全化するように、しっかりと進めていきたいと思っています。

途中かなり議論が白熱するなど、いろいろなことがありましたが、私も16回の中で、おそらく10回は出席したのではないかと思います。いろいろ一緒に議論させていただきまして、今回の改革案を自信を持ってまとめさせていただいたということです。