連休中にバングラデシュとスリランカに行った話の続きですが、今日はスリランカについて少しお話しをしたいと思います。

スリランカは終戦直後、いち早く日本と国交を結び、そして、スリランカからは象が贈られ、今でも多摩動物園で元気にしていますが、「いろいろな戦争中のことを乗り越えて、両国民はしっかりとした関係を作っていかなければいけない」と言ってくれた国、つまり、日本に対して一貫して非常に友好的な国であります。

本来、スリランカは仏教国であったわけですが、インドからタミルの人たちが移住してきたり、イギリスの植民地時代には、インド政府がタミル人を重用したということもあって、民族問題や宗教対立を抱えている国です。

内戦がしばらく続きました(約30年間)。激しい内戦でしたが、数年前(2009年5月)に終わりました。その内戦の末期に、一般人を巻き込んだ人権侵害があったのではないかということで、国連などでも問題になってきたところです。

私も外務大臣の時には、日本を訪れたスリランカの閣僚に対して、そういったことについて、少し厳しく申し上げたこともあります。

今回、ラージャパクサ大統領に対しても、スリランカの国として、そういったことについての調査結果も発表していますので、民族和解のために、そういったことをしっかりやってもらいたい、国連はじめ国際社会の理解を得られる努力もしてもらいたい、ということを申し上げました。

その上で、内戦の最後の戦いの場になった北部の場所を自ら訪れて、今どうなっているかということを、この目で見たいと思った次第です。

その北部にあるキリノッチは最も激烈な戦いが行われた場所です。こういったキリノッチやジャフナで、日本のNGOも元気に活躍しています。

キリノッチの訪れたところは、再定住と言いますか、元々住んでいた場所に戻るわけですが、家も壊されてない。ご主人が内戦で亡くなり、子ども3人を抱えた母親に対して、日本のNGOがいろいろ相談し、牛1頭を与え、その牛が出すミルクを売って、子ども3人を育てているというケースでした。

非常に楽しかったのは、その女性に、「あなたは将来どうしようと思っているのか?」「夢は何か?」と聞いたところ、「牧場主になること」という答えが返ってきました。

牛1頭を一生懸命育て、そのミルクを売っている。そして、子牛を生まなければ当然ミルクは出ませんが、その子牛も売るという、今ギリギリの生活をしておられるわけですが、将来的には、牛を増やして牧場主になるという、頼もしい答えが返ってきたわけです。