今回、非常に面白かったのは、抑制幅の数字が報道で先走りしたことです。

私自身は、「大幅に削減する」と申し上げました。したがって、過去2年間の4割弱、3割弱という数字と比べれば大幅に削減するということで、6割弱になったわけであります。

私としては、6割ぐらいを目途にということで、実際に各省と第一線で折衝していただくのは総務省(行政管理局)ですから、総務省の皆さんには「6割ということでなるべく収まるようにお願いしたい」と言いましたが、これは外には言わない、外に対しては「大幅に削減」という言葉で、あまり数字が先走らないようにしよう、ということで進めてきたわけです。

メディアは、最初は「4割超」から始まって、「7割」とか「8割」とか、私がそういう数字を指示した、言っていると。そういう報道がたくさんなされたわけです。そのたびに、記者会見で「私自身が数字を挙げて各省と交渉していることはない」と申し上げましたが、一旦メディアも報道してしまうと、それを訂正するよりは、そのことが事実であるかのようにいろいろ報道し、最近も「岡田副総理は7割という指示を出したが、各省の抵抗で56パーセントに落ち着いた」、と全くの作り事、「作文」や「小説」みたいなものですが、そういう記事を書いたところもあります。

もちろん、いろいろな数字が飛び交ったのは、総務省から各省庁に対して、この範囲でということで数字を投げたことによるものです。しかし、それはもちろん一律ではなくて、各省庁の状況をよく見て、どうしても減らせない職種もあります。例えば海上保安庁などは、あまり減らすわけにはいかないわけです。そういった職種の状況なども踏まえながら、省庁ごとに違う数字を総務省として提示をしたということです。

しかもそれは、交渉事では当然のことだと思いますが、ある程度きつめの数字をまず投げて、そして相手と交渉しながら妥当なところに落ち着かせていくということです。

その交渉過程のきつめの数字を取り上げて、「7割」、「8割」と報道したことは、こんないい加減な報道をしていていいのかなと、思わないでもありませんでした。

いずれにしても、今回の数字は、人件費の削減効果としては、1年間で見ればそう多いものではありません。しかし、これがずっと定年まで続くことを考えれば、かなりの金額になります。そして何よりも、全体の総人件費削減ということに対する政権としての覚悟を示すことになったと思っています。