日経平均株価が30年半ぶりに3万円の大台を回復しました。

 コロナ禍での株価上昇には「経済の実態から乖離している」「バブルだ」などの見方も少なくないようです。
 私たちはバブル崩壊以後、長年にわたって経済低迷と株価下落を見続けてきました。一時的には景気と株価が回復した時期もありましたが、長続きすることはなく、「やっぱりダメか」と何度も肩を落としたものでした。このため、「またどうせ今回もダメに決まっている」と物事を悲観的に考えるクセが身についてしまっている気がします。
 
 しかし株価上昇の内容をよく見ると、日本企業の地力が着実に高まっていることが背景の根底にあるのです。
 多くの企業はバブル崩壊後の経済低迷を乗り切るため、事業の見直しと構造改革を進めるとともに、強みを持つ技術を磨き、成長が見込める事業に経営資源を集中して競争力を強化してきました。本来の意味でのリストラ(Restructuring、事業の再構築)です。
 その成果がここへきて表れ始めてきています。
 ソニーの復活はその象徴と言えるでしょう。そのほか、日本の電子部品や半導体関連などの企業も技術力を高め、他に代替のきかない立場を確立するようになっています。これらの企業の株価は昨年秋以降、続々と上場来高値を更新しており、相場全体の上昇をけん引しています。
 他業種も含め、コロナ禍でも多くの企業が業績を伸ばしており、上場企業の5社に1社は過去最高益を上げています。
 つまり、最近の株価上昇は、これら日本企業の実力を反映したもので、決してバブルではないのです。

 もちろん、必ずしも競争力が回復したとは言えない企業がまだあるのも事実ですし、現実にコロナ禍によって業績が悪化している企業も少なくありません。最近の株価上昇が急ピッチだっただけに、当面はその反動で急落する場面があるかもしれません。

 しかしそれでも、中長期的に見れば株価上昇は続くと見ています。今後はワクチン接種などで感染拡大が抑制され、景気も徐々に上向いていく期待が出ています(多少の波乱はあり得るでしょうが)。その中で、日本企業の競争力回復の動きが継続していくことは間違いないでしょう。
 このように日経平均3万円回復は、アフターコロナに向けて日本経済が復活を果たすうえで節目となるものと言えます。

 詳しくは、『マイナビニュース』連載「コロナ禍に打ち克つためにできること」の第13回「日経平均株価3万円台を回復、30年半ぶりの高値が意味するものとは」をお読みください。
 https://news.mynavi.jp/article/covid-19-13/