先月の話になりますが、このほどインターネットTVのストックボイスが放送する経済番組「TFS(Tokyo Financial Street)」(毎週金曜日午後5:30~6:00)に出演しました。

 OA終了後、鈴木ともみキャスターと(東証アローズ・スタジオで)

番組では、大阪での開催を控えていたG20の見通しなどがテーマとなりましたが、これに関連する話題として、最近、日本で国際会議の開催が増えていることについてもお話ししました。
国際会議協会(ICCA)という機関が最近発表したデータによると、2018年に日本で開催された国際会議は492件で、過去最高となりました。前年と比べて78件の増加、増加率は19%で、2011年の開催件数の2倍以上になっています。これは、訪日外国人の増加や東京オリンピック・パラリンピックの2020年開催などで、日本に対する国際的な関心が高まっていることが背景にあります。
一口に国際会議と言っても、政治・外交から企業・業界団体などビジネス関連、さらには観光、文化、学会など多岐にわたりますが、その経済的・社会的効果は意外に大きいのです。日本で国際会議が開催されれば一度に数百人から数千人規模の人が世界中から訪れます。日本政府観光局の集計によると、2017年に日本で開催された国際会議の参加者総数は172万6000人(うち外国人は18万7000人)にのぼっており、それ自体が大規模な経済効果を生みます。
さらに効果はそれだけではありません。国際会議に出席する人たちはそれぞれの分野で指導的な立場や影響力の大きい人たちが多いため、海外と日本とのビジネスの展開や結びつきを深めることができますし、彼らを通じて日本についての情報発信が行われ、全体として日本のプレゼンスを高めることにつながるわけです。
ただ、前述のICCAのデータを、国際会議開催件数の国別ランキングでみると、2018年の日本の順位は7位でした。件数はこの数年で順調に増えているものの、順位は2012年以来ずうっと7位にとどまっています。
また都市別にみても、東京の2018年の順位は13位でした。2016年は21位、2017年は18位でしたので、順位は上げていますが、それでも13位というのは物足りない感じがします。
日本での国際会議開催はもっと増やす余地があると思います。

◆2018年国際会議開催ランキング(国際会議協会=ICCA)
<国別>     
①米国
②ドイツ
③スペイン
④フランス
⑤英国
⑥イタリア
⑦日本

<都市別>
①パリ
②ウィーン
③マドリッド
④バルセロナ
⑤ベルリン
⑥リスボン
⑦ロンドン
⑧シンガポール
⑨プラハ
⑩バンコク
⑪ブエノスアイレス
⑫香港
⑬東京

この都市別ランキングで興味深いのは、スペインのバルセロナが4位に入っていることです。バルセロナは1992年のオリンピック開催都市です。バルセロナと言えば、有名なサグラダファミリアをはじめ美しい街並みや景観などで世界的な観光地となっていますが、実はオリンピック以前は衰退していた同市がオリンピック開催を契機に再生させることに成功した結果なのです。今では観光や文化の面だけでなく、周辺には多くの企業やIT産業の拠点が誘致され、日本企業も数多く進出しています。
バルセロナは、まさにオリンピックの「レガシー効果」がよく発揮された前例となったのです。国際会議開催ランキング3位という成績は、その成果でもあります。この前例を参考に、2012年のロンドン・オリンピックでもレガシーを意識した都市開発が進められ、オリンピック後の効果を持続させました。
2020年の東京オリンピックも「レガシー」がキーワードの一つとなっているだけに、バルセロナの例は参考になります。東京がオリンピックのレガシー効果を持続させ、国際金融都市として発展していくうえで、国際会議の開催はそのバロメーターの一つと言えるでしょう。

同番組は下記URLから視聴できます。
https://kabuto-live.com/stockvoice_tv
https://www.youtube.com/watch?v=xlrUdLgb0Ps