このほど、新しい本を出版しました。
『明治日本の産業革命遺産――ラストサムライの挑戦!技術立国ニッポンはここから始まった』(集英社・定価1,900円+消費税)という本です。


「明治日本の産業革命遺産」は幕末から明治にかけて日本が近代化した発展の跡を示す産業遺跡群で、2015年に世界遺産に登録されました。
軍艦島(長崎市)、旧グラバー住宅(同)、松下村塾(山口県萩市)、韮山反射炉(静岡県伊豆の国市)、旧集成館(鹿児島市)など、全国8県にまたがる23の施設が一括して世界遺産に登録されています。
私はこの世界遺産登録を目指す運動にかかわり、地元自治体や関係企業などが結成した「産業遺産国民会議」の設立発起人の一人となっていました。そのような経緯もあって同書を出版しました。
同遺産の中には、三菱重工業長崎造船所、新日鉄八幡製鉄所などの一部工場など、100年以上経った現在でも稼働している施設も含まれており、現在の日本のモノづくりの技術がこの時代に基礎が築かれたことを物語っています。
まさに同遺産は日本経済の原点であり、経済復活に向けてのヒントが詰まっています。

本書ではそうした視点から、各施設の内容を紹介するとともに、それらの建設に携わった当時の人たちの挑戦ぶりを描いています。
例えば、幕末の薩摩藩主・島津斉彬。今年のNHK大河ドラマで渡辺謙が演じていましたが、島津斉彬はペリー来航前から欧米列強のアジア進出に危機感を持ち、大砲を作るための反射炉建設にいち早く着手しました。しかし当時、反射炉は日本にないのですから誰も作ったこともなければ見たこともありません。オランダの書物だけが頼りで、それを翻訳して何度も試行しながら完成させてしまったのでした。これぞ、日本のモノづくりの真骨頂です。
 薩摩のほかにも有力な藩は独自に反射炉の建設に取り組みました。実は薩摩より先行したのは佐賀藩でしたが、何度も作っては失敗を重ね、とうとう技術責任者に任命されていた藩士は「責任を取って切腹する」とまで言ったそうです。それを藩主が説得して建設を続行させついに完成にこぎつけたという壮絶な話も残っています。この反射炉技術が、後の日本の鉄鋼業の源流となったのです。
サムライたちの熱い情熱と高い志が新しい時代を切り開いていったと言えます。本書ではこうした歴史のドラマを描いています。このような歴史を知ると、現代に生きる私たちも元気になれると思います。ぜひ度一読ください。

https://www.amazon.co.jp/明治日本の産業革命遺産-ラストサムライの挑戦%EF%BC%81-技術立国ニッポンはここから始まった-岡田-晃
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