最近、人手不足が問題になっています。人手不足は企業の活動を制約し、日本経済全体にとって経済成長の阻害要因になることが懸念されます。今後も少子高齢化・人口減少によって人手不足はもっと深刻化する可能性があります。

しかし別の見方をすれば、人手不足は賃金上昇やイノベーションの呼び水になる可能性があります。ある意味で、日本経済にとってチャンスかもしれないのです。

このテーマについて、『会社四季報オンライン』の連載「マクロデータはこう読むと面白い!」で詳しく書きました。

https://shikiho.jp/tk/news/articles/0/184888

 

この原稿ではいくつかのデータを「経済財政白書2017」から引用しましたが、同白書も「人手不足に適切な対応をとれば、生産性向上やデフレ脱却に向けた大きなチャンスになり得る。前向きに対応することが、今後の日本経済の持続的成長への鍵」と指摘しています。

現在の日本経済についてはどちらかというと悲観的な見方をする人が多いように思います。なかなか賃金が上がらないのも、経営者・労働組合双方に慎重な考えが根強いことが背景にあると思います。しかし現状は、悲観論の傾向が強すぎるような気がします。

経済というものは、一つの事柄でもプラス面とマイナス面の両方の要素を持っている場合が多くあります。したがって何事も一面的に評価を下すのではなく、常にさまざまな角度から冷静に見ていくことが必要です。過度な悲観論に陥ることなく、プラス面、あるいは可能性にももっと目を向けたいところです。