インターネットテレビのストックボイスTVが放送する経済番組「Tokyo Financial Street」(毎週金曜日・午後530600)にこのほどゲスト出演しました。この番組はタイトルの通り、金融市場・東京、金融都市・東京をさまざまな角度から取り上げる番組で、今年5月に始まったばかりです。

 今回は、東京都議選の影響と政治・経済の行方についてお話ししました。このテーマについては、このブログでも前回書きましたが、小池知事側近の若狭衆院議員が「年内に国政新党への動きが出てくることは十分にありうる」と発言しており、小池知事の動向は今後の政局の台風の目になりそうです。

詳しい内容は、下記のオンデマンド配信でご覧いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=HXMjlBrCeMM

 

また「兜LIVE!」というサイトでは同番組の過去の放送もまとめて視聴できます。

http://kabuto-live.com/

 
放送終了後に東証アローズのスタジオで(左は鈴木ともみキャスター)

 

ところで、東京が国際金融都市として発展することは日本経済全体の成長の要になるもので、そのためには東京都と国が連携して税制や制度改革を進めることが不可欠です。そのカギとなるのはグローバルな視点で、逆に英国のEU離脱が“反面教師”と言えるでしょう。

英国はかつてサッチャー政権時代の「金融ビッグバン」によって、金融取引自由化やさまざまな金融改革を実施して海外の金融機関や関連企業を呼び込み、それまで地盤沈下していたロンドンの金融街・シティの活性化に成功しました。

その様子は「ウィンブルドン現象」と呼ばれるようになりました。ちょうど今、ロンドンでウィンブルドン・テニス大会が開催されていますが、この大会では2013年にアンディ・マレーが優勝するまでの77年間、主催国・英国の選手(男子)の優勝者がいませんでした。このことから「ウィンブルドン現象」という言葉が生まれ、否定的なニュアンスで使われることが多くありました。

しかしそれでもウィンブルドン大会はテニスの世界4大大会の中でも特別な存在であることに変わりはありません。そのうえ海外各国の選手の活躍によって世界中からますます注目が高まり、経済効果も大きく、結局、英国はそのメリットを得ているわけです。これが本当のウィンブルドン現象です。「いいウィンブルドン現象」と言ってもいでしょう。

話しをロンドンの金融街・シティに戻すと、その活性化は英国経済全体の復活にもつながりました。サッチャー亡き後の1990年代以後はEUの発足と拡大がシティの繁栄と英国経済成長を支えてきました。

皆さんの中には、「世界1の金融都市」と言うとニューヨークを思い浮かべる人が多いと思います。しかし世界各国の金融関係者へのアンケートをもとに算出した「国際金融都市ランキング」では、毎回ロンドンがニューヨークを抑えてトップとなっています。このようなロンドンへの高評価をもたらしたのは、世界に門戸を開いたシティの改革とEU統合の効果だったわけです。

 ところがその英国がEUを離脱することになり、海外の多くの金融機関はシティの拠点を欧州の他都市に移転する動きを見せています。これが具体化してくればシティの地盤沈下は避けられませんし、英経済全体にも悪影響が出る恐れがあります。先ほどのランキングでも、ロンドンは今のところ1位をキープしていますが、得点はすでに減らし始めています。先の総選挙で大敗した英国のメイ政権は離脱の進め方をめぐって迷走しつつあり、EUとの交渉の行方も不透明です。このような状態が続けば英国離れは一段と進む可能性があります。EU離脱は自国優先主義によってグローバル化に背を向けようとするもので、結局、自国にプラスにはならないのです。

 国際金融都市の実現をめざす東京にとって、この英国の現状はまさに「反面教師」です。いい意味での「ウィンブルドン現象」を東京にもたらすことが重要なのです。

 

追記:

錦織選手は残念でしたね。次回のUSオープンや来年のウィンブルドンなどに期待しましょう!