トランプ米大統領の「ロシアゲート」疑惑が広がっています。今後の展開によっては、大統領弾劾にまで発展するのではないか、あるいは大統領が辞任に追い込まれるのではないかなどの観測が飛び交い始めており、トランプ政権の命運を左右する問題になりつつあります。

この問題について、『マイナビニュース』の連載「経済ニュースの“ここがツボ”」(第86回=G7で亀裂を呼んだトランプ大統領――ロシアゲートで前途に暗雲)で詳しく書きましたので、こちらをお読みください。

http://news.mynavi.jp/column/economytsubo/086/

 

 ここで、1枚の写真をご紹介します。昨年12月にワシントンDCで撮影してきた「ウォーターゲートビル」です。

 

 

このビルで1972年に起きた事件が、当時の二クソン大統領を任期途中での辞任に発展した「ウォーターゲート事件」です。

事件は同年6月のある日の深夜、このビルにあった野党・民主党本部に5人の不審人物が忍び込んだところ警備員に見つかって通報され逮捕されたことから始まりました。

警察の取り調べで、彼らは民主党本部に盗聴器を設置するために侵入したこと、そのうちの一人はニクソン陣営の関係者であることなどがわかったのです。当初はホワイトハウスは「3流のコソ泥がやったことだ」と関係を否定していましたが、ワシントンポストなどメディアの粘り強い取材によって、ニクソン大統領が捜査妨害と事件もみ消しを指示していたことや、大統領執務室でのその会話の録音テープの存在が判明するなど、アメリカ政治史上最大のスキャンダルに拡大していきました。ホワイトハウスはテープ提出の拒否、特別検察官の解任や司法省への圧力、証拠ファイルの廃棄など、さまざまな捜査妨害を続けましたが、ついに議会で大統領弾劾が避けられない情勢となり、19748月にニクソン大統領は辞任を表明したのでした。

今回の疑惑が「ロシアゲート」と呼ばれるのは、ウォーターゲート事件をもじったものです。そのようなネーミングが使われるところに、米国のメディアや世論の沸騰ぶりが表れていると言えます。

それにしても、この写真がこんなに早く役立つことになるとは……。昨年12月にワシントンDCでトランプ政権の今後について取材していた段階では、トランプ陣営とロシアとの疑惑は指摘されていましたが、まだロシアゲートとは呼ばれていませんでした。それでも、ふとウォーターゲート事件のことが気になって、同ビルの写真を撮りに行ったのです。

同ビルはなかなかユニークなデザインで、周辺のビルと併せた「ウォーターゲート・コンプレックス」はオフィスビルやホテル、マンションなどとして現在も使われています。トランプ大統領とは全く関係がありませんが、とんだ連想で再び話題にのぼるようになったわけです。

ロシアゲート疑惑がどこまで発展するかは今後の展開次第ですが、トランプ政権が一段と苦しくなっていることは間違いないようです。